勝てない戦いをするべきではない
- 2020/08/11
- 12:34
香港の著名な民主活動家、周庭(英語名アグネス・チョウ)氏が香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で香港警察に逮捕された。流暢な日本語を話し、キュートなルックスで日本でも人気の民主活動家である。
個人的なことを言うと以前から彼女は理想主義者であり、考えが甘いなぁと思っていたが、今回、まさにその甘さが命取りになってしまった。
社会主義国内に於いて民主化を訴えるだけには訴えるだけのベースがないと今回のような悲劇に繋がる。
近現代以降の代表的な革命の成功例といえば明治維新であると思うが、根っこの部分では武力による討幕を旨としており、佐幕派、討幕派、ともに多くの血を流している。武器を持たずに民主的なデモだけで討幕は土台無理な話だ。
これが現代の日本であればもしかすると武力を用いなくても言葉の力で政権奪取が可能かもしれないが中国共産党という大きな組織と対峙するのに言葉はあまりにも無力だ。それはいみじくも天安門事件で証明されている。
中国共産党の政治構造はかつてのナチスドイツと極めて似ている。中国共産党は共産党を標榜しつつも共産主義とは名ばかり、実態は資本主義を土台とした国家社会主義である。
そのナチスであるが元々数人の党員しかいない貧乏政党である。ナチ党は当初事務所もなく喫茶店の地下室を会合場所とする凡そ政治結社とは呼べぬほど小さな組織であった。詳細は省くがナチスは決してヒトラーが創設した政治結社ではない。ひょんなことから入党することになってしまったヒトラーが実権を握り、最終的にはドイツを支配する。
だが、ナチスの歴史は決して平穏無事、順風満帆な道のりであったわけではなく、ナチスは武力革命を起こそうとして失敗している。ミュンヘン一揆である。ビュルガーブロイケラーというビアホールで決行されたためビアホール一揆とも呼ばれる。そのミュンヘン一揆でヒトラーは武力革命に失敗して投獄されてしまう。
獄中でヒトラーが気づいたのは議会政治を壊すためには議席を取らねばならない、民主主義を叩き壊すためには民主主義そのものを踏み台にしなくてはならないというある種の矛盾。刑期を終え、出所後は演説を中心としたまともな政治活動に専念をして最終的には大量議席を得て政権を獲る。
ワイマール共和国では議院内閣制というナチスが政権を獲るべき土壌が醸成されていたため、ナチスは選挙という合法的手段で政権奪取が可能であった。
では現代の中国に戻す。民主化を推し進めるためには二つの方法しかない。政治家になって国家の構造そのものを変えるか、或いは武力で中国共産党を倒すかのいずれかだ。
結論から言えばどちらも不可能。政治家になろうとも周庭氏は香港の選挙管理委員会によって立候補を禁止されている。民主化を望む政治家には立候補すらさせてもらえないのである。武力で倒閣、これもあまりにも非現実的だ。
周氏をヒトラーと同列に扱うのは支持者にとって不本意極まりないだろうが、ヒトラーが躍進するには躍進できるだけの土壌がワイマール憲法下のドイツには備わっていた。だが、中国には周氏が合法的手段で躍進できるだけの土壌などどこにもない。
SNSで情報を発信したところで元より民主主義が機能しない国に於いてはあまりにも非力。非力であればまだよかったが相応の発信力を持ってしまったがために今回の悲劇につながった。
最大で無期懲役もあるという香港国家安全維持法(国安法)違反、どのような刑罰を科せられるかは分からぬが背後にあるのは中国共産党、相当重い刑罰が科せられるのは避けられまい。中国共産党の息の掛かった香港の裁判所に良心が機能しているとは到底思えない。
戦争や喧嘩に負けない唯一無二の方法は自分より強い相手と戦わないこと。周氏が民主主義という理想を掲げるのは結構だが、香港政府に勝てぬことは火を見るよりも明らかだ。あくまでも個人的な意見であるが、戦うべきではなかった。せいぜい日本か台湾に亡命して大所高所の安全な場所から情報を発信するぐらいに留めておけばよかったのだ。本人が死を賭して民主化を訴えていたのであれば今回の逮捕劇も覚悟のうえであると思うが、果たしてそれが未来への礎になるかといえば無防備なデモクラシーは却って民主化という壁の高さをより高いものにしてしまうような気がしてならない。
個人的なことを言うと以前から彼女は理想主義者であり、考えが甘いなぁと思っていたが、今回、まさにその甘さが命取りになってしまった。
社会主義国内に於いて民主化を訴えるだけには訴えるだけのベースがないと今回のような悲劇に繋がる。
近現代以降の代表的な革命の成功例といえば明治維新であると思うが、根っこの部分では武力による討幕を旨としており、佐幕派、討幕派、ともに多くの血を流している。武器を持たずに民主的なデモだけで討幕は土台無理な話だ。
これが現代の日本であればもしかすると武力を用いなくても言葉の力で政権奪取が可能かもしれないが中国共産党という大きな組織と対峙するのに言葉はあまりにも無力だ。それはいみじくも天安門事件で証明されている。
中国共産党の政治構造はかつてのナチスドイツと極めて似ている。中国共産党は共産党を標榜しつつも共産主義とは名ばかり、実態は資本主義を土台とした国家社会主義である。
そのナチスであるが元々数人の党員しかいない貧乏政党である。ナチ党は当初事務所もなく喫茶店の地下室を会合場所とする凡そ政治結社とは呼べぬほど小さな組織であった。詳細は省くがナチスは決してヒトラーが創設した政治結社ではない。ひょんなことから入党することになってしまったヒトラーが実権を握り、最終的にはドイツを支配する。
だが、ナチスの歴史は決して平穏無事、順風満帆な道のりであったわけではなく、ナチスは武力革命を起こそうとして失敗している。ミュンヘン一揆である。ビュルガーブロイケラーというビアホールで決行されたためビアホール一揆とも呼ばれる。そのミュンヘン一揆でヒトラーは武力革命に失敗して投獄されてしまう。
獄中でヒトラーが気づいたのは議会政治を壊すためには議席を取らねばならない、民主主義を叩き壊すためには民主主義そのものを踏み台にしなくてはならないというある種の矛盾。刑期を終え、出所後は演説を中心としたまともな政治活動に専念をして最終的には大量議席を得て政権を獲る。
ワイマール共和国では議院内閣制というナチスが政権を獲るべき土壌が醸成されていたため、ナチスは選挙という合法的手段で政権奪取が可能であった。
では現代の中国に戻す。民主化を推し進めるためには二つの方法しかない。政治家になって国家の構造そのものを変えるか、或いは武力で中国共産党を倒すかのいずれかだ。
結論から言えばどちらも不可能。政治家になろうとも周庭氏は香港の選挙管理委員会によって立候補を禁止されている。民主化を望む政治家には立候補すらさせてもらえないのである。武力で倒閣、これもあまりにも非現実的だ。
周氏をヒトラーと同列に扱うのは支持者にとって不本意極まりないだろうが、ヒトラーが躍進するには躍進できるだけの土壌がワイマール憲法下のドイツには備わっていた。だが、中国には周氏が合法的手段で躍進できるだけの土壌などどこにもない。
SNSで情報を発信したところで元より民主主義が機能しない国に於いてはあまりにも非力。非力であればまだよかったが相応の発信力を持ってしまったがために今回の悲劇につながった。
最大で無期懲役もあるという香港国家安全維持法(国安法)違反、どのような刑罰を科せられるかは分からぬが背後にあるのは中国共産党、相当重い刑罰が科せられるのは避けられまい。中国共産党の息の掛かった香港の裁判所に良心が機能しているとは到底思えない。
戦争や喧嘩に負けない唯一無二の方法は自分より強い相手と戦わないこと。周氏が民主主義という理想を掲げるのは結構だが、香港政府に勝てぬことは火を見るよりも明らかだ。あくまでも個人的な意見であるが、戦うべきではなかった。せいぜい日本か台湾に亡命して大所高所の安全な場所から情報を発信するぐらいに留めておけばよかったのだ。本人が死を賭して民主化を訴えていたのであれば今回の逮捕劇も覚悟のうえであると思うが、果たしてそれが未来への礎になるかといえば無防備なデモクラシーは却って民主化という壁の高さをより高いものにしてしまうような気がしてならない。