覆面の北枕

ま、偉そうなことを言っても本音をいえば才能のなさに辟易する毎日なんだよねぇ。

もちろん依頼されたものに関していえば商用レベルに値するものを仕上げる自負はある。

事実仕上げた作品は凄く綺麗だ、よく出来てますねと誉められることも多い。

でも、心の底から納得出来たものを仕上げられているかといえば全然…。

自分なんかは専門学校も美大も出ていない野良犬ゆえ、根本が分かっちゃいねぇといえばそれまでかも知れないが、どうしてもあと一つの壁を越えられず、四苦八苦する時が多い。

今回仕上げたデザインもなんだかんだでまる四日掛かっている。

書籍やサイトでスーパークリエイターさんが作った素晴らしいデザインのものを見ると、殴りあいの喧嘩で負けたような悔しい気持ちになる。

実際の喧嘩なんて弱すぎて負けてボコボコに殴られてばっかり、勝ったことなんてないんだけどさ（笑）。

ともかく、素晴らしいデザインが自然と浮かぶ人ってやっぱりセンスがあるんだろうな。

もっともデリヘル始めた時もそうだった、一度も風俗業界に携わったことのない、ずぶの素人でも見よう見真似でそこそこまでこれた。

確かに美大や専門学校で学んでいないというビハインドがあるが、その分社会経験が人様よりもあると思っている。

薄汚れたドブ川の中で口を塞ぎ、見上げた月の美しさは今も忘れない。

汚い世界だからこそ、綺麗に格好よく生きようと誓って１１年もやってきた。

その人とは違う経験を最大限の武器にしてこれからは歩んでいこうと思う。