サラリーマンだからこそ大成する人がいる。
組織の中でこその人だ。
そういう人は絶対に独立して起業しようなどと思ってはいけない。この手のタイプは得てして学生時代勉強がキッチリ出来て生徒会などの役員をやっていたような人だ。いわゆる秀才型である。
秀才型のタイプは協調性に優れ、組織に忠誠を誓い、上司を敬い、部下を敬愛し、組織の中では実にいい仕事をする。自分の会社に誇りを感じているから他社に対しても常に強気である。
ただ、よくも悪くもそこまでの人であり、言うなれば優秀なシェパード。飼い主が居れば無類の強さを発揮するが森の中で狼と渡り合う器量はない。所詮はどんなに意気がったところで飼い犬止まりだということだ。
一方、自分のようなはみ出し者もいる。
組織のなかでは生きられないタイプの人間である。
日本に於いては圧倒的に不利な人種である。
待っている先は基本的に地獄か天国の二者択一である。しかも地獄のほうにいく確率の方が断然高い。
ちなみに動物園にいるライオンは野性のライオンの倍の年数を生きられるという。通常、野性のライオンの寿命は約10年、それに対し動物園のライオンの寿命は20年。自由がなくとも衣食住に恵まれのんびり暮らしたいなら動物園で飼われるに限る。人間社会も同様だ。寄らば大樹の陰で、結局サラリーマンの方が労せず生きるには圧倒的に有利だ。名は残せずとも子は残せる。
ホリエモンは会社勤めは馬鹿馬鹿しい、能力がある人はどんどん独立すればいいというリベラルな考え方だが能力のあるなしは会社勤めでこそ発揮できるという人もいるから俺は安易に独立を勧めたりはしない。
官僚主義といえばいいのか、そういった人は独立などせず、組織の中で地盤を固め、磐石の地位を築くほうが絶対にいい。
人間向き不向きがある。
いい職人がいい経営者になれるとは限らない。腕のいい、美容師や大工さんなど、世の中山ほどいる。
じゃあその人たちが独立して美容室チェーンや大手の工務店を築けるかといったらまったく別物である。
口さがない、なまじ腕のいい職人は社長より俺の方がうまいとバカにしがちであるがあなたの取り柄はその腕だけで人間的な器量は社長に遠く及ばないといいたい。
なんのかんのいって大したものなのはそんな『あなた』を使いこなしている社長なのである。
ま、二代目のバカボン社長なら話は別だが。
僕は別に自慢じゃないがある程度のことはそこそこ出来る。学問に限らず運動神経もそこまで悪くないし、歌や絵もまあまあうまい方だと自負している。
だが決してスペシャリストではない。如何せん60点の人である。
でもそれなりに出来れば別に60点だって構わない。百点の人を使えばいいだけだ。
それが突き詰めれば自分の経営哲学である。
しかも、現在は百点の人を探すなんてことなどインターネットを使えば簡単だ。わざわざ高い金を払って自分の支配下にする必要などない。
とにかく、マジな話、会社勤めやお役所勤めでそれなりの生活が維持できるのなら夢々独立など考えないほうがいい。
俺のようになりたくなければ(笑)。