覆面の北枕

結局オナニーはしませんでした。

マジです、マジ。

マジだろうがマジじゃなかろうがそんなもんイチイチ報告すんなよって話ですけどね、だって本当にやってねぇもの。

じゃあ何をしていたかといえば見事なくらい生産性のない活動のみ、炭水化物、酸素を口にいれ、代わりに二酸化炭素とアンモニアを含む液体を排出しただけ（くどいが蛋白質を含む白い液体は排出していない）。

あ、でもニトリに枕買いに行ったな。

俺、生活用品に殆どこだわりはないが枕だけには凄いこだわりがある。

といっても、２万円もするテンピュールの高級枕などはいらない。

むしろ高級枕は優しく包み込むように沈むため、育ちの悪い俺には却って気持ちが悪いのだ。

以前、横浜のインターコンチネンタルホテルのデラックスルームに泊まった時も、それ系の枕だったため、フロントに無理をいってわざわざ安っぽい枕に交換をしてもらったぐらいだ。

安くてもいいからある程度の高さがあって固めの枕がいい。

結婚前、実家で使っていたソバガラの枕は実によかった。まさに俺の望む、理想の枕だったのだがある日突然消えていた。

あまりに汚いため、俺がいない時におふくろが捨ててしまったのである。

書いてて情けないが俺は極度の鼻詰まりゆえ、寝る時は口を開けて寝るため、よだれを尋常じゃない程垂らす。

そのよだれが染みとなり、見た目が非常によろしくない枕なのだ。

しかし、外行きの服じゃあるまいし、別に汚れてたってなにも問題はない、いくら汚れてるつったって、定期的に干したり、洗濯はしているわけですし。

なのにおふくろは捨ててしまったのである。

あれは本気でショックだったなぁ。

それ以降妥協できる枕はあっても理想の枕には出会っていない（意外にいいのは座布団を二つ折りにしたもの）。

だから今日は暇にかまけて夜の理想郷を探しにニトリまで出かけたのである。

本日購入した、硬め、高めの羽毛枕、これ、実にいい感じだ。

さすがはニトリの羽毛だけある、ごわごわしていかにも肌ざわりが悪く、包み込むような羽毛とはまるで対極。

だが、これでいい。

この枕こそ、天国に誘（いざな）う地獄枕。

地獄枕？

うん、地獄枕。

数日後にはよだれで汚くなるのはミエミエの地獄枕。

ヤダー。

酒飲んで寝よ。

ベビースター、肴にちょっと一杯。