覆面の北枕

この前の日曜、生き抜きがてら駅前のサザにコーヒーを飲みに行ったのだが（得意技）、なんと至福の時よとひとり悦に入ってしまった。

最近は自分でも結構頑張ってるなぁと思っている。

ではなんのために頑張っているのかといえば正直分からない。

そもそも贅沢指向がないため、派手な生活を愉しみたいという欲望はない。

極端な話、生活レベルだけでいえば食うには困らず、たまに旅行に行ける程度のいわゆる中流の暮らしが出来れば満足だ。

それ故時折、果たしてがむしゃらに突っ走る意味はあるのだろうかと自問する時がある。

弱気の虫が騒ぐ時は得てして無理して上を見る必要はないんじゃないか、そこそこ暮らせれば幸せなんじゃないかと思うもの。

しかし、それでいて最後はやはり、俺は常々持っている男、こんなところでは終われぬという野心は捨て切れぬから自分という人間が分からない。

毎日が平凡と非凡のせめぎあい。

そのせめぎあいに疲れるとコーヒーを飲みながら物思いに耽る。

親父もおふくろも育ててくれた恩は十分感じているが所詮は真面目に働くことこそが美徳だの平民、その血を色濃く受け継いだのは弟、俺とはまったく人種が違う。

きゃつはよく言えば企業戦士、悪く言えば社畜。

組織の中ではそこそこ成功するとは思うが天を目指せるかといえばそんな器量は毛頭なし。まあ凡人。

だが俺は自惚れだけは超一流、誰に似たのか知らないが天を目指せる人間だと思っているからたちが悪い。

そういうことを考えながら飲むコーヒーは格別うまかったりする。