覆面の北枕

風は、時として優しく、時には容赦なく吹き荒れる。中東の風は、特にその性質が顕著である。あさっての方角から、その風の行方を見守る者たちがいる、れいわ新選組だ。彼らはイスラエルの即時停戦を求め、デモ行進を行う。無辜の市民が犠牲になる悲劇に心を痛め、その不安と憂慮を声に出している。気持ちは分かるが無意味だ。

ハマスとイスラエル、各々のその行動の背景には幾重にも重なり合った複雑な理由がある。ハマスが行った奇襲や民間人誘拐は強く非難されるべきであるが、イスラエル建国から今日までの歴史を辿ると、ハマスばかりを断罪するのは片手落ちも甚だしい。ロシアによる一方的な侵攻のウクライナ戦争とは一線を画す。

れいわ新選組の行動を見るに、SNSを駆使した大衆扇動術をうまく使い、山本太郎の表現力を高く評価する声も一部ある。一方で、その行動を無意味なものと見る者もいる。努力と無意味な行動の区別は難しい。

政党であれば国民のため、努力はすべきだが、無意味な行いは厳に慎むべきだろう。

れいわ新選組が大声を上げてデモ行進をする往来には病院もあり、療養中の人々もいれば、昼間に休息を取る夜勤の方々もいる。彼らの平穏を乱す行動は、暴走族の爆音となんら違いはない。弱者のための政党が弱者を実は虐げているこの現実にれいわは気付いているだろうか。

また、一部報道では、山本代表をはじめとする支援者が交通の流れを妨げる行為を行っているとも伝えられている。配送業界やタクシー業界は慢性的な人手不足で疲弊している。少しでも効率よく運航をしようとしているのに関わらず、無意味なデモで足止めをされる、もはや無意味を通り越して害悪でしかない。

大声を上げて戦争が終わるのであれば俺だっていくらでも大声を上げる。

だが、大声だけでは戦争の悲劇を止めることができない。戦争を止めるのが大声なら、国連ではなく拡声器が必要だ。

過去を振り返れば、なるほど、ベトナム戦争の終結には、アメリカ国民の声が大きな役割を果たした。これは事実。

彼らは、戦争当事国の国民としてベトナム戦争の大義に疑問を投げかけ、政府を動かした。声の主にはベトナム帰りの軍人もいれば、親兄弟、夫、友人、恋人を戦争で亡くした人もいる。れいわのような部外者とは根っこから違う。単なる叫びではなく、深い思索と共感から生まれた、真の努力だった。声は、ただ響くだけじゃ駄目だ、意味を持たねばならない。

れいわ新選組のデモ行進は寝覚めの悪い金切り声だけが耳に残り、心に響かず、まったく意味をなさない。文字通りバカがするバカ騒ぎでしかない。