R子の夢を見た その1
- 2023/10/17
- 17:21
違法フーゾク時代にR子という女性がいた。彼女との関係は、出勤予定を報告するメールのやり取り程度で、深い接点はなかった。そんな彼女の存在を忘れかけていた中、突然彼女のことを夢に見た。
夢とは不思議なものだ。R子のことなど夢に見るまで完全に忘れていた。R子は以前、店長が別の店での彼女の働きぶりを見てスカウトした人物。そのため、彼女のマネージメントは店長が主に管理しており、俺との接点は限られていた。関係はホームページに掲載する彼女の出勤予定をメールでやりとりするだけのビジネスライクなもの、俺は彼女の電話番号すら知らなかった。
そんな希薄な関係性であるため、夢の中でも彼女の顔ははっきりと浮かんでこなかった。もし今、街で彼女と会っても、気づくことはないだろう。
じゃあまったく無関係かといえば違う。最後にひと悶着があった。
夜中、R子からのメールを受信する。当然俺は次回の出勤日時を報告してきたのかと思う。R子から突如として一本のメールが届いた。「お前を絶対に許さない。私のバックには山口組の若頭と住吉会の会長がいる」という内容だった。
当時の山口組本家の若頭は現六代目組長の司忍弘道会会長、住吉会の会長は確か福田氏であったと思う。そんな大物組長とお知り合いだとは恐れ入った、ただ、まったくといっていいほど接点がないのにも関わらず、お前呼ばわりされた挙句、一次団体の直系組長まで語られるとは穏やかではない。わけを聞いた。
もっとも一次団体の組長がド田舎の違法フーゾクごときにクビを突っ込んでくるなどあろうはずがなく、仮にR子が山口組の若頭と住吉会の会長を知っているといったところでせいぜい三次団体の組長レベルの話で、それならどうぞ連れてこいとしかいいようがない。
いずれにせよメールじゃ埒が明かなそうなので電話番号を教えてください、こちらから掛けるのでとメールを送信する。俺とR子の間に何ら問題はなかったはずだったので、驚きつつも彼女に真意を問いただした。電話が繋がる。メールとは打って変わって電話の声はしおらしい。突飛なメールを送ってきた人とはまったく違う人と話しているのかと錯覚するほどであった。
話を進めるうち、実はドライバーとR子との間にひと悶着があったことが判明した。二人は遊びに行くことになり、ディズニーランドへ行った後、ドライバーがR子を浦安あたりのラブホテルに連れ込んだ。
しかし、R子は拒絶し、何もないまま茨城に帰ってきたという。それから二人の間に距離が生まれ、R子は彼に貸したDVDを返してもらえずにいた。男と女が二人だけでディズニーランドに行く、一般的にそれをデートと呼ぶがR子はどうやら違ったらしい。ドライバーに懇願され、渋々好きでもない男とディズニーランドに行ったそうだ。
R子はドライバーを雇用している俺に対して、その責任を問うていたのである。
いくらなんでも無茶ぶりが過ぎる。
ディズニーランドへ行ったのもDVDの貸し借りの話も今初めて聞いた。確かに、ドライバーを雇用しているのは俺だが、その理屈で言えば、R子も俺の下で働いている。立場は従業員同士、イーブンじゃないか。彼女のことをあまり知らなかったのも事実だが、彼女の言動から、R子が軽い統合失調症を患っていると感じた。
ただ、あくまでもR子からの一方通行な話であり、そのまま鵜呑みには出来ない。ドライバー側にも話を聞く必要がある。その晩は遅かったので明日もう一度話し合おうといって電話を切った。
翌日、ドライバーに話を聞く。概ね、R子のいっている通りである。言い訳をせず、否定をしなかったことにむしろ好感をもったぐらいだ。だからあまり叱らず、そのDVDを持ってこい、俺が直接R子に返すから、お前さんもつらいかもしれんが彼女に気がない以上諦めろといってこの場は収めた。
続く
夢とは不思議なものだ。R子のことなど夢に見るまで完全に忘れていた。R子は以前、店長が別の店での彼女の働きぶりを見てスカウトした人物。そのため、彼女のマネージメントは店長が主に管理しており、俺との接点は限られていた。関係はホームページに掲載する彼女の出勤予定をメールでやりとりするだけのビジネスライクなもの、俺は彼女の電話番号すら知らなかった。
そんな希薄な関係性であるため、夢の中でも彼女の顔ははっきりと浮かんでこなかった。もし今、街で彼女と会っても、気づくことはないだろう。
じゃあまったく無関係かといえば違う。最後にひと悶着があった。
夜中、R子からのメールを受信する。当然俺は次回の出勤日時を報告してきたのかと思う。R子から突如として一本のメールが届いた。「お前を絶対に許さない。私のバックには山口組の若頭と住吉会の会長がいる」という内容だった。
当時の山口組本家の若頭は現六代目組長の司忍弘道会会長、住吉会の会長は確か福田氏であったと思う。そんな大物組長とお知り合いだとは恐れ入った、ただ、まったくといっていいほど接点がないのにも関わらず、お前呼ばわりされた挙句、一次団体の直系組長まで語られるとは穏やかではない。わけを聞いた。
もっとも一次団体の組長がド田舎の違法フーゾクごときにクビを突っ込んでくるなどあろうはずがなく、仮にR子が山口組の若頭と住吉会の会長を知っているといったところでせいぜい三次団体の組長レベルの話で、それならどうぞ連れてこいとしかいいようがない。
いずれにせよメールじゃ埒が明かなそうなので電話番号を教えてください、こちらから掛けるのでとメールを送信する。俺とR子の間に何ら問題はなかったはずだったので、驚きつつも彼女に真意を問いただした。電話が繋がる。メールとは打って変わって電話の声はしおらしい。突飛なメールを送ってきた人とはまったく違う人と話しているのかと錯覚するほどであった。
話を進めるうち、実はドライバーとR子との間にひと悶着があったことが判明した。二人は遊びに行くことになり、ディズニーランドへ行った後、ドライバーがR子を浦安あたりのラブホテルに連れ込んだ。
しかし、R子は拒絶し、何もないまま茨城に帰ってきたという。それから二人の間に距離が生まれ、R子は彼に貸したDVDを返してもらえずにいた。男と女が二人だけでディズニーランドに行く、一般的にそれをデートと呼ぶがR子はどうやら違ったらしい。ドライバーに懇願され、渋々好きでもない男とディズニーランドに行ったそうだ。
R子はドライバーを雇用している俺に対して、その責任を問うていたのである。
いくらなんでも無茶ぶりが過ぎる。
ディズニーランドへ行ったのもDVDの貸し借りの話も今初めて聞いた。確かに、ドライバーを雇用しているのは俺だが、その理屈で言えば、R子も俺の下で働いている。立場は従業員同士、イーブンじゃないか。彼女のことをあまり知らなかったのも事実だが、彼女の言動から、R子が軽い統合失調症を患っていると感じた。
ただ、あくまでもR子からの一方通行な話であり、そのまま鵜呑みには出来ない。ドライバー側にも話を聞く必要がある。その晩は遅かったので明日もう一度話し合おうといって電話を切った。
翌日、ドライバーに話を聞く。概ね、R子のいっている通りである。言い訳をせず、否定をしなかったことにむしろ好感をもったぐらいだ。だからあまり叱らず、そのDVDを持ってこい、俺が直接R子に返すから、お前さんもつらいかもしれんが彼女に気がない以上諦めろといってこの場は収めた。
続く