日立市への定住者促進 vol.4 最終回
- 2023/09/30
- 21:01
起業はどうか。
あくまでも個人的な意見であるが、飲食店ならイケるかもと思っている。いくら人口流出が多い市町村であっても月並みであるが入っている店は入っている。
飲食店が繁盛するには味と値段のバランスが見合っているのがまずは大前提であるが、伴なって人口も大きなウエイトを占める。日立市の場合、特に平日の昼間は人口が劇的に増える。恐らく平日昼間の人口は4万人ぐらい増えるのではないか。日立製作所を中心とした日立市内の企業、役所に勤める人が市外から訪れるからである。
事実、行列が出来る飲食店や弁当店も多い。仕入価格や光熱費、人件費の高騰を、なんとか乗り越えられるのであれば飲食店はいいと思う。
日立市では商業機能の空洞化を解消し、空き店舗や空き家の活用とまちなかの活性化を図るため、空き店舗や空き家を活用し出店する方や移動販売車で事業を開始する人に、事業を開始するために必要な経費の一部を補助する制度があり、利用すれば開業資金をかなり低く抑えられる。
もちろん、空き店舗だからとすぐに飛びつく愚は避けたい。まず何故空き店舗なのかを考える必要がある。店主が高齢により、泣く泣く繁盛店を閉めたのであればいいが、立地条件が悪く、客が来なくて潰れたのであれば同じ轍を踏む可能性も大。駐車場の有り無しはもちろん、人や車の往来の数を調べる必要がある。主にネットでの宣伝が現実的だろうが、サイトやSNSでPRすればなんとかなるものなのか、そこら辺をよくよく精査する必要がある。
諸々を鑑みイケると思ったら最大限補助金や支援金を利用して開業する。市の『 空き店舗・空き家を活用した出店に対する補助』を利用すれば、最大で100万円の補助金が受けられる。
飲食店ならやりようによってはなんとかなると思う。また、新規参入をして成功している人もいる。
こういった個人向けの商品やサービスであればなんとかなるが企業相手のいわゆるBtoBビジネスだと恐らく相当苦戦するだろう。
日立市の場合、日立製作所を中心に町全体が成り立っている。〇〇〇を利用するならどこでと既に決められているケースが多く、そのケースは下請け、孫請けの中小企業にまで広く浸透しており、新規参入障壁が著しく高い。商品、サービスの良し悪しを別にして、既得権益が厚く保護されているといえる。
「あなたの会社の方が安くていいのは分かるんだけど、うちも色々しがらみがあってさ、急に変えることは出来ないんだよ、ごめんね」
営業努力以前の問題だ。
だいたい市長選からしてそうだ。都市伝説なのか、事実なのか、分かりかねるが日立市で市長になるには日立製作所がうんと言わないとなれないと昔から地元ではそう言われている。日立製作所にお伺いを立て、認められるのが市長立候補の第一の条件、それは翻って日立製作所の意向を最大限反映する人物じゃないとダメだということ。
では、フリーランスはどうか。
ひたちテレワーク移住促進助成事業という助成制度があり、年齢制限など諸条件はあるが最大261万5千円の助成金が受け取れる。
ただ、問題は助成金の額ではない、自身に仕事を取ってこれるだけの営業スキルがあるのか。フリーランスが喰えるか喰えないかの境界線は使い捨ての下請けなのか、代替の効かない先生であるのかによって大きく異なる。安い値段で割りに合わない仕事ばかりをするIT土方になるのか、是非ともお願いしますと三顧の礼で依頼される立場になるか、それ次第。
先生になる、或いは既になっているのであれば助成金を受け取れるので移住は大きなメリットだ。下請けのIT土方にしかなれないのであればどのみち後悔するから移住などやめて早々に安定した収入が得られるところで働け。
生まれも育ちも自分自身日立市であるが、日立市内でWEB制作業をするのは極めて厳しいと思い、水戸を中心に活動している。水戸であればなんとかなるし、事実なっているが、日立だと恐らく俺程度の営業力の人間であると太刀打ち出来ず、良くて事業撤退、最悪の場合、多額の借金を作り自己破産、夜逃げまである。12年ぐらい前、個人事業主として独立した当初、日立市内にもWEB制作業者はそれなりに存在していた。事業規模がいったいどれぐらいかは分からぬが恐らく10社以上あったと思う。
だが当時から行き残っているWEB制作会社は恐らく2、3社だ。しかもその残っている企業は元々ソフトウェア開発会社であり、日立製作所及びその関連企業のソフトウェアを制作している会社が片手間でWEB制作を行っているに過ぎない。つまりWEB制作を専業で行っているところはほぼゼロだ。
生まれ故郷、出来れば日立市内にある実家で活動できるのであればそれに越したことはないが、結局水戸、ひたちなかを中心に活動している。
成功する人はどこでなにをやっても成功する、確かにそのとおりだが、そんな人は一握りの一握りだ。殆どの人が身の丈に合った能力の範囲内でしか働けない。
同じ労力であればより商機がある場所で勝負したほうが勝算は高い。
やみくもに日立市移住を卑下するつもりはないが、かといって市役所が推進するような甘い幻想を抱かせるのはそれこそ無責任だと思う。だいたい役人は商売をしたこともなければノルマに追われたこともない。そういった人に商売人や民間企業で働くサラリーマンの苦労や苦悩が分かるはずがない。
官民一体で移住を促進するのは結構だが、「こんなはずじゃなかった」、そういって日立市に悪いイメージを持たれるのは日立市で生まれ育ったものとしては不本意でしかない。
移住をするには勤め人として働くにしても、起業をするにしても成功して、いい所に引っ越してよかったと思ってもらいたい。
ただ、そのためには下地が大切だろうといっている。安易に補助金や支援金をあてにして引っ越してきたはいいが、そこはデストピアであるなら移住は本末転倒だ。
(完)
あくまでも個人的な意見であるが、飲食店ならイケるかもと思っている。いくら人口流出が多い市町村であっても月並みであるが入っている店は入っている。
飲食店が繁盛するには味と値段のバランスが見合っているのがまずは大前提であるが、伴なって人口も大きなウエイトを占める。日立市の場合、特に平日の昼間は人口が劇的に増える。恐らく平日昼間の人口は4万人ぐらい増えるのではないか。日立製作所を中心とした日立市内の企業、役所に勤める人が市外から訪れるからである。
事実、行列が出来る飲食店や弁当店も多い。仕入価格や光熱費、人件費の高騰を、なんとか乗り越えられるのであれば飲食店はいいと思う。
日立市では商業機能の空洞化を解消し、空き店舗や空き家の活用とまちなかの活性化を図るため、空き店舗や空き家を活用し出店する方や移動販売車で事業を開始する人に、事業を開始するために必要な経費の一部を補助する制度があり、利用すれば開業資金をかなり低く抑えられる。
もちろん、空き店舗だからとすぐに飛びつく愚は避けたい。まず何故空き店舗なのかを考える必要がある。店主が高齢により、泣く泣く繁盛店を閉めたのであればいいが、立地条件が悪く、客が来なくて潰れたのであれば同じ轍を踏む可能性も大。駐車場の有り無しはもちろん、人や車の往来の数を調べる必要がある。主にネットでの宣伝が現実的だろうが、サイトやSNSでPRすればなんとかなるものなのか、そこら辺をよくよく精査する必要がある。
諸々を鑑みイケると思ったら最大限補助金や支援金を利用して開業する。市の『 空き店舗・空き家を活用した出店に対する補助』を利用すれば、最大で100万円の補助金が受けられる。
飲食店ならやりようによってはなんとかなると思う。また、新規参入をして成功している人もいる。
こういった個人向けの商品やサービスであればなんとかなるが企業相手のいわゆるBtoBビジネスだと恐らく相当苦戦するだろう。
日立市の場合、日立製作所を中心に町全体が成り立っている。〇〇〇を利用するならどこでと既に決められているケースが多く、そのケースは下請け、孫請けの中小企業にまで広く浸透しており、新規参入障壁が著しく高い。商品、サービスの良し悪しを別にして、既得権益が厚く保護されているといえる。
「あなたの会社の方が安くていいのは分かるんだけど、うちも色々しがらみがあってさ、急に変えることは出来ないんだよ、ごめんね」
営業努力以前の問題だ。
だいたい市長選からしてそうだ。都市伝説なのか、事実なのか、分かりかねるが日立市で市長になるには日立製作所がうんと言わないとなれないと昔から地元ではそう言われている。日立製作所にお伺いを立て、認められるのが市長立候補の第一の条件、それは翻って日立製作所の意向を最大限反映する人物じゃないとダメだということ。
では、フリーランスはどうか。
ひたちテレワーク移住促進助成事業という助成制度があり、年齢制限など諸条件はあるが最大261万5千円の助成金が受け取れる。
ただ、問題は助成金の額ではない、自身に仕事を取ってこれるだけの営業スキルがあるのか。フリーランスが喰えるか喰えないかの境界線は使い捨ての下請けなのか、代替の効かない先生であるのかによって大きく異なる。安い値段で割りに合わない仕事ばかりをするIT土方になるのか、是非ともお願いしますと三顧の礼で依頼される立場になるか、それ次第。
先生になる、或いは既になっているのであれば助成金を受け取れるので移住は大きなメリットだ。下請けのIT土方にしかなれないのであればどのみち後悔するから移住などやめて早々に安定した収入が得られるところで働け。
生まれも育ちも自分自身日立市であるが、日立市内でWEB制作業をするのは極めて厳しいと思い、水戸を中心に活動している。水戸であればなんとかなるし、事実なっているが、日立だと恐らく俺程度の営業力の人間であると太刀打ち出来ず、良くて事業撤退、最悪の場合、多額の借金を作り自己破産、夜逃げまである。12年ぐらい前、個人事業主として独立した当初、日立市内にもWEB制作業者はそれなりに存在していた。事業規模がいったいどれぐらいかは分からぬが恐らく10社以上あったと思う。
だが当時から行き残っているWEB制作会社は恐らく2、3社だ。しかもその残っている企業は元々ソフトウェア開発会社であり、日立製作所及びその関連企業のソフトウェアを制作している会社が片手間でWEB制作を行っているに過ぎない。つまりWEB制作を専業で行っているところはほぼゼロだ。
生まれ故郷、出来れば日立市内にある実家で活動できるのであればそれに越したことはないが、結局水戸、ひたちなかを中心に活動している。
成功する人はどこでなにをやっても成功する、確かにそのとおりだが、そんな人は一握りの一握りだ。殆どの人が身の丈に合った能力の範囲内でしか働けない。
同じ労力であればより商機がある場所で勝負したほうが勝算は高い。
やみくもに日立市移住を卑下するつもりはないが、かといって市役所が推進するような甘い幻想を抱かせるのはそれこそ無責任だと思う。だいたい役人は商売をしたこともなければノルマに追われたこともない。そういった人に商売人や民間企業で働くサラリーマンの苦労や苦悩が分かるはずがない。
官民一体で移住を促進するのは結構だが、「こんなはずじゃなかった」、そういって日立市に悪いイメージを持たれるのは日立市で生まれ育ったものとしては不本意でしかない。
移住をするには勤め人として働くにしても、起業をするにしても成功して、いい所に引っ越してよかったと思ってもらいたい。
ただ、そのためには下地が大切だろうといっている。安易に補助金や支援金をあてにして引っ越してきたはいいが、そこはデストピアであるなら移住は本末転倒だ。
(完)