日立市への定住者促進 vol.1
- 2023/09/25
- 15:24
日立市の人口減少は顕著、日立市役所では現在助成金を導入するなど他地域からの移住者を積極的に推し進めている。
ただ、公平に見て厳しかろうと思う。
日立駅から国道六号に連なるメインストリートの平和通りと銀座通り、御多分に漏れず今はシャッター商店街、なかなかひどい有り様だ。
木枯らしが吹きすさぶ冬の夕暮れ時に訪れると、あまりのさびれっぷりに向こうからコートの襟を立たせ、旅行カバンを持った高倉健が出てくるのじゃなかろうかと思ってしまうほどだ。なんだか涙が出そう。
百貨店があったのは遠い昔、今では駅前のランドマーク的な存在であったイトーヨーカドーまでが撤退した。
少子高齢化に伴う単純な人口減少であればともかく、日立製作所の海外移転、白物家電製造から高付加価値の工業製品への産業構造のシフトなど、工場で働く人の減少が最も大きな要因だ。決して日立製作所の業績が悪いわけではない。日立製作所に於いて日立市内にある工場が果たす役割が大幅に減ったからである。
そもそもその日立市内の日立製作所の大部分が三菱との合弁事業になり、社名のロゴも「Inspire the Next」の日立マークから三菱の菱形マークに変わった。
ともすれば企業城下町というのも憚れるかもしれない。
つまり身も蓋もない言い方ではあるが、これだけ日立市から人口が流出しているのは日立市に魅力がないからだ。日立市に定住するメリットがあれば若者はわざわざ日立市から出ては行かない。
コロナで休んでいるとき、日立市役所が制作した移住を希望している人向けのユーチューブ動画を見た。悲惨な再生数はあえて言うまい。
いかにもお役所仕事で鼻白んだ。いくつかある日立市の映えるところのみをピンポイントに取り上げ、「こんなに日立にはいいところがあります」と過剰PR、オイオイ、観光客を誘致してるのか、違うだろう、求めているのは定住者だ。
インスタ映えするスポットとして割りと有名な日立駅のシーバーズカフェ、確かに目の前に広がる太平洋は一見の価値はあり。必ずといっていいほど日立市のPR動画には出てくる。マスコミに取り上げられることも多い。
しかし、観光客を誘致するのではない。定住者だ。良い所を見せるのも大事だが、同じぐらいダメなところを見せる必要があるだろう。動画にはシーバーズカフェで海を見ながらテレワークに励む若い女性の一コマがあったが、いったい月に何日、シーバーズカフェでテレワークをするのだ。また、人気の観光スポットでもあるカフェで果たして何時間も居座りテレワークをするなど現実的にあるのだろうかと訝しく思う。
だいたいどうやってここまで来るのだ。たまたま徒歩圏内に住んでいるのであればともかく、自動車を使えば駐車料金が掛かるし、公共交通機関を使えば運賃が掛かる。テレワークのメリットは余計な費用が掛からぬこと。たまにならともかく毎日のようにここに車を使って通うのであればもはや勤め人となんら変わりがない。テレワークの意味があるのか。
移住者を促進しているのはなにも日立市ばかりではない。多くの市町村が人口減少に頭を悩ませている。だが、同時に定住者と地元住民とのトラブルの声が数多く聞かれる。双方にそれぞれの言い分があり、解決は一筋縄ではいかず、多くの場合、移住者が地元住民との軋轢に悩み、結局は定住を諦めるケースが決して少なくない。
受け入れる側の寛容さのなさも問題の一つではあるが、一番の原因は良い所ばかりアピールして悪いところを説明しなかった自治体側にあるのではないかと思ってしまう。
(つづく)
ただ、公平に見て厳しかろうと思う。
日立駅から国道六号に連なるメインストリートの平和通りと銀座通り、御多分に漏れず今はシャッター商店街、なかなかひどい有り様だ。
木枯らしが吹きすさぶ冬の夕暮れ時に訪れると、あまりのさびれっぷりに向こうからコートの襟を立たせ、旅行カバンを持った高倉健が出てくるのじゃなかろうかと思ってしまうほどだ。なんだか涙が出そう。
百貨店があったのは遠い昔、今では駅前のランドマーク的な存在であったイトーヨーカドーまでが撤退した。
少子高齢化に伴う単純な人口減少であればともかく、日立製作所の海外移転、白物家電製造から高付加価値の工業製品への産業構造のシフトなど、工場で働く人の減少が最も大きな要因だ。決して日立製作所の業績が悪いわけではない。日立製作所に於いて日立市内にある工場が果たす役割が大幅に減ったからである。
そもそもその日立市内の日立製作所の大部分が三菱との合弁事業になり、社名のロゴも「Inspire the Next」の日立マークから三菱の菱形マークに変わった。
ともすれば企業城下町というのも憚れるかもしれない。
つまり身も蓋もない言い方ではあるが、これだけ日立市から人口が流出しているのは日立市に魅力がないからだ。日立市に定住するメリットがあれば若者はわざわざ日立市から出ては行かない。
コロナで休んでいるとき、日立市役所が制作した移住を希望している人向けのユーチューブ動画を見た。悲惨な再生数はあえて言うまい。
いかにもお役所仕事で鼻白んだ。いくつかある日立市の映えるところのみをピンポイントに取り上げ、「こんなに日立にはいいところがあります」と過剰PR、オイオイ、観光客を誘致してるのか、違うだろう、求めているのは定住者だ。
インスタ映えするスポットとして割りと有名な日立駅のシーバーズカフェ、確かに目の前に広がる太平洋は一見の価値はあり。必ずといっていいほど日立市のPR動画には出てくる。マスコミに取り上げられることも多い。
しかし、観光客を誘致するのではない。定住者だ。良い所を見せるのも大事だが、同じぐらいダメなところを見せる必要があるだろう。動画にはシーバーズカフェで海を見ながらテレワークに励む若い女性の一コマがあったが、いったい月に何日、シーバーズカフェでテレワークをするのだ。また、人気の観光スポットでもあるカフェで果たして何時間も居座りテレワークをするなど現実的にあるのだろうかと訝しく思う。
だいたいどうやってここまで来るのだ。たまたま徒歩圏内に住んでいるのであればともかく、自動車を使えば駐車料金が掛かるし、公共交通機関を使えば運賃が掛かる。テレワークのメリットは余計な費用が掛からぬこと。たまにならともかく毎日のようにここに車を使って通うのであればもはや勤め人となんら変わりがない。テレワークの意味があるのか。
移住者を促進しているのはなにも日立市ばかりではない。多くの市町村が人口減少に頭を悩ませている。だが、同時に定住者と地元住民とのトラブルの声が数多く聞かれる。双方にそれぞれの言い分があり、解決は一筋縄ではいかず、多くの場合、移住者が地元住民との軋轢に悩み、結局は定住を諦めるケースが決して少なくない。
受け入れる側の寛容さのなさも問題の一つではあるが、一番の原因は良い所ばかりアピールして悪いところを説明しなかった自治体側にあるのではないかと思ってしまう。
(つづく)