覆面の北枕

性被害を受けた韓国人女性DJの声明文を読んだ。

「6歳のときに家に1人でいた私は強盗から性的暴行を受けた」とある。まずこれが事実であれば襲った強盗の非情さに強い怒りを覚える。6歳の女の子を性奴隷として扱う、万死に値する鬼畜の所業。しかしながら両親が悲しむからといって被害はなかったと嘘をついてしまったとある。健気な気遣いに心が痛む。その嘘を咎めることなど出来ない。

そして彼女の受難は成人してからも続く。2018年、とあるフェスでVIP席にいた男性からセクハラを受け、海外のDJ達からも度重なる性的な発言をされたという。

最後に「私の小さな声が被害者に少しでも力になればと思う。私みたいな人がこういう方法でも少しでも声を出せばいつか社会の認識が少しでも変わるのではないか」、こう綴って声明は終わる。

この韓国人女性DJに対して、良くも悪くも韓国人だからといった特別な感情は微塵もない。仮に今回の騒動が日本人女性や他国の女性でも同じ。

声明を読んで今イチ理解できなかったのが、幼少期を含め、かなりの性被害を受けてきたとある、あくまでも一般論であるが、普通はそうなると、性に対して臆病になり、性を強調するような恰好は却ってしなくなるものではないかとついついそう思ってしまう。もちろん、反骨精神というべきか、かつての性被害に対する反逆的な意味もあるだろうから絶対的にこうだとは決め付けられないが純粋な思いとして不自然に感じてしまうのは事実だ。

見てはいないがこの女性のインスタグラムには裸同然の際どい写真も相当数掲載されているという。

性絡みで散々嫌な目に遭っておきながら性を強調するような恰好をして、耳目を集める。ドライに割り切ったビジネススタイルなのかもしれないが、センシティブな話の割りには随分簡単に割り切れるものだなと感心してしまう。

女性のなかには胸が大きいのが却ってコンプレックスだという人がいる。そういう人は衣装や下着など出来るだけ胸を小さく見せようと努力をする。これがコンプレックスに悩む人の一般的な行動論理であると思う。

この女性DJは結局のところ胸を強調した性的な姿をアピールしてチヤホヤされるのが好きなのだと思う。別にそれを悪いといって非難しているのではない。演奏する国の法律に則り、法の範囲内でそういう格好をするのであればまったく問題はない。

俺の読解力のなさが原因なのだろうが、子供の時の性暴力被害、数々のセクハラ体験、それがどうして、「私がわざと露出が激しい服を着て観衆に近付いたからこんな事件が起きた？（声明文より）」、ここに結びつくのかよく分からない。純粋な思いとしてあるのは、散々性にまつわる嫌な経験をしたなら普通は臆病になって、被害に遭わないようにしようとするもんじゃないのか、真っ先にそう思ってしまった。恐らくは理解できない俺の考え方が変なのでしょう。

前にも書いたが、セクハラ行為をした奴は最低、日本の恥以外、何ものでもない。当然、加害者は心から謝罪し、刑事的にも民事的にも罪を償うべきである。決してセクハラ行為を肯定しているのではない。

今回書いたのは声明文を読んでも理解できない己の読解力のなさから。か弱い女性に対する性加害など万国共通で言語道断、絶対にしちゃいけない、絶対にブレてはいけない。相手が韓国人だからどうのという話じゃない。