覆面の北枕

絶体絶命の危機、よくよく考えてみると人生五十年、未だかつてない。

真の絶体絶命とは後ろは断崖絶壁、前からはいきり立った熊が襲ってくる、こういう絶望的な状況を絶体絶命の危機と呼ぶのであって手形が落とせず不渡りを出すとか、家賃を滞納して強制退去なんてのは単なる経済的な危機であって絶体絶命の危機とは言わない。借金が百万円増えるごとに指一本ずつ切り落とされるのであればまさしくそれは賭博黙示録カイジの世界、確かに絶体絶命の危機だろうが、そんな話ヤンマガ以外で見たことがない。

そう考えると、広末涼子も鳥羽シェフもまだまだ絶体絶命の危機とはいえない。CMに出演している契約企業から億単位の違約金を請求されようが、店の売上が落ちようが、なにも死にゃあしない。上原多香子を見よ。死ぬ素振りすらない。ましてや、刑事事件じゃない、民事の話だ。女は開き直って脱げばいい。MUTEKIデビューが待ち遠しい。俺も買う。出来ることならパコパコママがいい。

もっとも本人たちが絶体絶命の危機と思っているかどうかは別問題。流行り病に冒された程度としか思っていないかもしれない。「きもちくしてくれて」さえいればいいのかもしれない。

俺も「きもちくしてくれて」もらいたい。「きもちくしてくれて」もらえるのなら熊の懐に飛び込む勇気がある、なんならトムクルーズのように断崖絶壁からバイクで飛び降りても構わない。それぐらいの覚悟はあるつもりだ。