ないなりの生活
- 2023/03/20
- 10:47
特殊詐欺に関与したとして、中野区の美容サロン経営、金地紗弓容疑者(37)ら女2人が詐欺と窃盗の疑いで逮捕された。
自身が経営するエステサロンがコロナ禍で大打撃を受け、SNS映えする華やいだ生活が維持できなくなり、犯行に及んだ。リスクを負って商売をするのだから儲かったときぐらい、勤め人には到底真似できない派手な金の遣い方をして散財をするのも起業家の醍醐味、気持ちはわからぬでもない。
稼いだお金はきちんと貯金しておけ、返答に窮するほどの大正論だが、そのままコツコツ貯金できるようなタイプの人間はそもそも起業家になどならないのもまた一つの真理。どこか刹那的な生き方に憧れるものだし、その憧憬が起業への原動力であったりする。起業家の多くが稼ぐのは一流でも貯めるのは三流。稼ぐのは簡単とうそぶくが、貯めるのは稼ぐ以上に難しいと語る経営者は多い。
俺はあればあるで遣ってしまうがないならないなりの生活ができる。長所と呼べるかどうかは微妙であるが、一応長所であると受け止めている。
WEB制作者として起業してからの数年間は本当に悲惨な生活だった。電気水道ガス、携帯電話、すべて止まった経験がある。真冬、ガスが止まり、風呂に入れず、冷たい水で髪を洗った。金がないから仕方がない。いくら金が欲しいからといって特殊詐欺に応募しようとは思わなかった。
ここ数年、年の瀬を迎えると、決まって今年はなんとか乗り切ったが、来年はいったいどうなることやらと、うらびれた気持ちになる。コロナ禍以降、この仄暗い気持ちはより顕著だ。新年を迎えるにあたって、明るい希望なんてものはまるでありゃしない。
WEB制作業の場合、通年、年明けは暇になる。年始のプロモーション制作はすでに12月に終わらせており、1月は単に制作物をアップロードするだけのケースが圧倒的に多い。通常そのアップロードも年末年始の休み前に済ませておく。毎年のことなのでわかってはいるが、1月は寒さも相まって、今年はいったいどうなってしまうのかと得も言われぬ不安感にさいなまれる。場末の居酒屋に自営業者同士がなんとなく集まり、しみったれた話をして、傷を舐めあうのが中小零細企業経営者の新年会。
幸い、現状忙しく、すでに5月までのスケジュールはいっぱいだが、自営業をする以上、この浮き沈みに耐える気構えは必要だ。
金策に走るのも経営者の仕事の内であるが、いくら金がないからといって特殊詐欺に溺れるのは経営者どころか、人間失格。しかもその動機が、映える生活を維持したいといったひどく不純な動機、もはやあきれて言葉がない。
分不相応に映える必要などない。我執を捨て、ないならないなりの生活をする以外ない。警視庁捜査2課によると、金地容疑者たちは過去に約35件、被害総額約3000万円の詐欺事件に関わっている可能性があるとされている。実刑は免れまい。刑務所の中でないなりの生活を否応なしに学ばされるとは随分皮肉な結末である。
自身が経営するエステサロンがコロナ禍で大打撃を受け、SNS映えする華やいだ生活が維持できなくなり、犯行に及んだ。リスクを負って商売をするのだから儲かったときぐらい、勤め人には到底真似できない派手な金の遣い方をして散財をするのも起業家の醍醐味、気持ちはわからぬでもない。
稼いだお金はきちんと貯金しておけ、返答に窮するほどの大正論だが、そのままコツコツ貯金できるようなタイプの人間はそもそも起業家になどならないのもまた一つの真理。どこか刹那的な生き方に憧れるものだし、その憧憬が起業への原動力であったりする。起業家の多くが稼ぐのは一流でも貯めるのは三流。稼ぐのは簡単とうそぶくが、貯めるのは稼ぐ以上に難しいと語る経営者は多い。
俺はあればあるで遣ってしまうがないならないなりの生活ができる。長所と呼べるかどうかは微妙であるが、一応長所であると受け止めている。
WEB制作者として起業してからの数年間は本当に悲惨な生活だった。電気水道ガス、携帯電話、すべて止まった経験がある。真冬、ガスが止まり、風呂に入れず、冷たい水で髪を洗った。金がないから仕方がない。いくら金が欲しいからといって特殊詐欺に応募しようとは思わなかった。
ここ数年、年の瀬を迎えると、決まって今年はなんとか乗り切ったが、来年はいったいどうなることやらと、うらびれた気持ちになる。コロナ禍以降、この仄暗い気持ちはより顕著だ。新年を迎えるにあたって、明るい希望なんてものはまるでありゃしない。
WEB制作業の場合、通年、年明けは暇になる。年始のプロモーション制作はすでに12月に終わらせており、1月は単に制作物をアップロードするだけのケースが圧倒的に多い。通常そのアップロードも年末年始の休み前に済ませておく。毎年のことなのでわかってはいるが、1月は寒さも相まって、今年はいったいどうなってしまうのかと得も言われぬ不安感にさいなまれる。場末の居酒屋に自営業者同士がなんとなく集まり、しみったれた話をして、傷を舐めあうのが中小零細企業経営者の新年会。
幸い、現状忙しく、すでに5月までのスケジュールはいっぱいだが、自営業をする以上、この浮き沈みに耐える気構えは必要だ。
金策に走るのも経営者の仕事の内であるが、いくら金がないからといって特殊詐欺に溺れるのは経営者どころか、人間失格。しかもその動機が、映える生活を維持したいといったひどく不純な動機、もはやあきれて言葉がない。
分不相応に映える必要などない。我執を捨て、ないならないなりの生活をする以外ない。警視庁捜査2課によると、金地容疑者たちは過去に約35件、被害総額約3000万円の詐欺事件に関わっている可能性があるとされている。実刑は免れまい。刑務所の中でないなりの生活を否応なしに学ばされるとは随分皮肉な結末である。