タコ食べたかったです
- 2023/02/25
- 21:02

昨夜、「山椒」の居酒屋に飲みに行く。金曜の晩だというのに俺が帰る22時まで客は俺一人。いよいよヤバいんじゃないのかと心配になる。
「どうせ客なんか来ねぇんだ、これ持って帰って家で飲め」
そういって渡された二階堂の吉四六。しかも2本。ありがたく頂いたものの、どう解釈していいのかわからない。しかもカウンター越しの会話ではなく、カウンターに俺とマスターが並んで座っている。完全にやる気がない。
客は俺一人だが、途中、近所に住んでいるおばさんがタコを持ってきた。
「タコ貰ったんだけど、あたし捌けないからマスター、切って刺身にして頂戴、半分取っていいから」
「ほー、これはいいマダコだ、柔らかくて刺身にしたら最高だ」
マスターは手際よくタコを捌き、皿に盛りつける。さすがは職人、綺麗に盛りつける。この人、性格はすこぶるいい加減だが、元々腕は確かなのだ。
おばさんは礼をいって帰って行った。おばさんが金の代わりに払ったのはタコの足2本。
「この足、見てみろ、いいタコだろう」
カウンター越しにタコを見せる。
てっきり、俺もお相伴にあずかれると思ったのだが、ラップをしてさっさと冷蔵庫に仕舞ってしまった。タコの出番はなし。タコを冷蔵庫に仕舞うとマスターはまた俺の横に座る。
タコはなく、あるのは二本の吉四六。
酒を飲みに行って、酒を貰って帰ってくる。まったく意味が分からない。散々いいタコだと自慢されても俺にはタコが出てこない。理不尽なのか、道理にかなっているのかよく分からない。金払うからそのタコを食わせろ、それもまた違う気がする。タダでもらったタコに金を払うのもちょっと……、しかも一部始終を目の前で見ている。
釈然としないのはいつものこと、考えたら思うつぼ、負けだ。先日はサービスといって出されたのがあんこのついた草団子とチョコクロワッサン。酒を飲みに来ているのにも関わらずだ。一切脚色なし、すべてが実話である。