鷹じゃない、ノスリだ
- 2023/02/17
- 10:40
実家に帰るとおふくろが竿竹を持って仁王立ちしている。気球でも落とす気だろうか?
「なにをしている?」
「鷹を追い払っている」
「鷹を?」
「あれだ」
竿竹の指す実家の屋根上を見ると、確かに鷹らしき鳥が止まっている。だが、鷹ではない、あれはタカ科の猛禽類(ワシやタカ、フクロウなどの鳥類)、ノスリだ。街中で暮らす人には馴染みがないかもしれないが、ノスリは田舎であれば割りとよく見かける鳥、決して珍しくはない。そもそも野生の鷹(いわゆるオオタカ)は俺も見た経験がない。猛禽類を扱うペットショップで繋がれているのを見ただけ。一応、茨城にもいるらしく、涸沼周辺での目撃例はあるが未だ目撃はゼロだ。
「ああ、あれはノスリだ、何故ノスリを追い払っている?」
「スズメやハトを襲うから追い払っている」
おふくろは冬になり、食べるものが乏しくなる鳥を憐れみ、白米やお菓子、パンの余ったものを庭に餌としてバラ撒く。その餌をついばむ小鳥たちを愛でるのがとにかく楽しいのだそうだ。野鳥に餌を与えるのが果たして法律的にセーフなのかアウトなのかよく分からない。ブラックバスやアメリカザリガニなどの外来生物とは違い、日本固有の種であるハトやスズメであれば問題ないのか。たまにお寺でもハトの餌を置いてあるところがあるからいいのか、よく分からない。
ただ、問題は冬季に餌が乏しくなるのはなにもハトやスズメばかりではない、餌となるカエルや蛇、昆虫、魚などの小動物が冬眠してしまうため、ノスリにとっても冬の餌不足は深刻だ。それゆえノスリはハトやスズメを襲って食べる。残酷なようだが、弱肉強食は自然の摂理、人がノスリの狩りを邪魔するのは許されない。しかも、おふくろが餌付けをするため、小鳥たちが集まってくるのだ、ノスリにとってこんな格好の条件はない。わざわざ餌を探し回らなくてもそこにいる。
つまり、おふくろがスズメのためによかれと思ってやっている行為が却ってスズメを危険な目に合わせているともいえる。
「そんなのは知らない、スズメを襲う鷹は許せない」
今しがたノスリだと説明したのに、まだ、鷹といっている……。年寄りにはいくら自然の摂理といっても理解が出来ないらしい。許す許さないの境界線は単純に可愛いと憎たらしいとの差でしかない。女ってバカだなと思いつつも、それをいうとキレられるから黙っておいた。

※写真はノスリ、別に珍しくもない。Wikipediaによると、鷹と似ているが鷹狩に使えないため、役に立たない鷹として、奈良時代には「くそとび」と呼ばれていたそうだ。ノスリの名の由来は野を擦るように低空飛行をするのでノスリとつけられた説が有力。
「なにをしている?」
「鷹を追い払っている」
「鷹を?」
「あれだ」
竿竹の指す実家の屋根上を見ると、確かに鷹らしき鳥が止まっている。だが、鷹ではない、あれはタカ科の猛禽類(ワシやタカ、フクロウなどの鳥類)、ノスリだ。街中で暮らす人には馴染みがないかもしれないが、ノスリは田舎であれば割りとよく見かける鳥、決して珍しくはない。そもそも野生の鷹(いわゆるオオタカ)は俺も見た経験がない。猛禽類を扱うペットショップで繋がれているのを見ただけ。一応、茨城にもいるらしく、涸沼周辺での目撃例はあるが未だ目撃はゼロだ。
「ああ、あれはノスリだ、何故ノスリを追い払っている?」
「スズメやハトを襲うから追い払っている」
おふくろは冬になり、食べるものが乏しくなる鳥を憐れみ、白米やお菓子、パンの余ったものを庭に餌としてバラ撒く。その餌をついばむ小鳥たちを愛でるのがとにかく楽しいのだそうだ。野鳥に餌を与えるのが果たして法律的にセーフなのかアウトなのかよく分からない。ブラックバスやアメリカザリガニなどの外来生物とは違い、日本固有の種であるハトやスズメであれば問題ないのか。たまにお寺でもハトの餌を置いてあるところがあるからいいのか、よく分からない。
ただ、問題は冬季に餌が乏しくなるのはなにもハトやスズメばかりではない、餌となるカエルや蛇、昆虫、魚などの小動物が冬眠してしまうため、ノスリにとっても冬の餌不足は深刻だ。それゆえノスリはハトやスズメを襲って食べる。残酷なようだが、弱肉強食は自然の摂理、人がノスリの狩りを邪魔するのは許されない。しかも、おふくろが餌付けをするため、小鳥たちが集まってくるのだ、ノスリにとってこんな格好の条件はない。わざわざ餌を探し回らなくてもそこにいる。
つまり、おふくろがスズメのためによかれと思ってやっている行為が却ってスズメを危険な目に合わせているともいえる。
「そんなのは知らない、スズメを襲う鷹は許せない」
今しがたノスリだと説明したのに、まだ、鷹といっている……。年寄りにはいくら自然の摂理といっても理解が出来ないらしい。許す許さないの境界線は単純に可愛いと憎たらしいとの差でしかない。女ってバカだなと思いつつも、それをいうとキレられるから黙っておいた。

※写真はノスリ、別に珍しくもない。Wikipediaによると、鷹と似ているが鷹狩に使えないため、役に立たない鷹として、奈良時代には「くそとび」と呼ばれていたそうだ。ノスリの名の由来は野を擦るように低空飛行をするのでノスリとつけられた説が有力。