ルフィ
- 2023/01/30
- 11:15
フィリピンで収容されている「ルフィ」が日本へ強制送還される。事件の指示役とされるそのルフィ、2人とも4人とも言われているがそこは今後の捜査の展開を待つほかない。
問題はこのルフィが黒幕なのは確実だとしても、ルフィが頂上かといえばそう単純な話でもない。暴力団との関係だ。
暴力団組織は一次団体、二次団体、三次団体、四次団体……、とピラミッド型の組織構造になっているのはよく知られている。ルフィをはじめとした特殊詐欺事件に暴力団が関与しているのは疑いようがなくとも、実際どのへんまで暴力団が関与しているかはケースバイケース。例えば四次団体が組織全体のシノギとして大掛かりに関与している場合もあれば、三次団体の組員が単独で関与している場合もある。
いずれにせよ、上部団体の組長や幹部は個別の事例を知らないケースが多い。
理由は二つある。
一つは下手に知ってしまうと関与した組員が逮捕されたとき、芋づる式に組長まで逮捕されてしまうのであえて知らない体にしておくケース、半ば確信犯的に半グレたちとは一定の距離を置き、なにか揉め事があったときだけ当事者間でヤクザの話をする。
ちなみに、暴力団と関わりのない善良なる市民の方々はそんなバカなと驚かれるだろうが、山口組をはじめとしたすべての暴力団組織は違法薬物の関与が禁止されている。しかし、暴力団を抜きにして覚せい剤、その他の違法薬物の販売は実質的に不可能だ。もしかすると、大麻あたりであるとごく親しい仲間内での売買もあるかもしれないが、覚せい剤の流通にかぎっていえば暴力団の関与は不可避である。当然、ここに矛盾が生ずる。組織としてご法度の禁制品が組員の関与なしでの流通は不可避、これはいったいなんぞやと。
結局は本音と建前なのだ。上部組織の組長が下部組織の組員が覚せい剤の売買をしているのは百も承知だ。ただ、表向き、違法薬物の取り扱いを禁止にしておかないと、下部組織の組員が捕まったとき、連鎖的に上部団体の組長まで逮捕されてしまう。だからこそ、覚せい剤をシノギにするのは開き直りの大義名分としてどこの暴力団組織も禁止されている。万が一、下部組織の組員が覚せい剤取締法違反で逮捕されたら即刻破門状を出して、トカゲの尻尾切りをすればいい。
同様に特殊詐欺もなにか「悪さ」をしているのだろうと思うものの、とりあえず上納金を持って来てくれればそれ以上深く詮索しないが、上部組織と下部組織との暗黙の了解だったりする。ゆえに、例えばルフィがどこぞの暴力団に行きついたとしても、上部団体の組長は本当に内実を知らず、逮捕状を請求するのはかなり困難になる。
もう一つの理由はこれも暴力団の浅ましさであるが、羽振りのよさに目をつけられると上部団体の組長や幹部にシノギを横取りされる恐れがあるため、あえて隠しているケース。
だから、組員個人や四次団体など小さな集団で特殊詐欺に関与していたとしても、上には決してシノギの内実を言ったりしない。捕まってはじめて、アイツ、オレオレ(振り込め詐欺)をしていたのかと知る組長や幹部もいるぐらいだ。組員によっては足の引っ張り合いに脅え、常に疑心暗鬼、敵対組織や警察よりも同じ組織内の人間の方がよっぽど怖いと嘆くものすらいる。
かつて闇金をシノギとしていたとある組員(現在は組織を離脱、その後行方不明)、事務所当番や組の会合に出向く際には高級腕時計を外し、クルマも普段乗り回しているレクサスからわざわざワゴンRに乗り換えていた。「儲けているなんてわかったら兄貴にせっかくのシノギを横取りされてしまいますからねぇ」とこぼしていた。上納金も本当は期日に納められるのだが、あえて苦しいふりをして、今、なんとか金を集めていますので数日待ってくださいと演技をする念の入れようだ。身内に金を見せたら最後、鵜の目鷹の目で寄ってたかってむしり取られてしまう。
いずれにせよ、ルフィが逮捕され、ルフィ以下の金の流れを解明したとしても、ルフィ以上の金の流れを解明しないと今後この手の事件はまた起きる。ルフィにしてもその上に存在している暴力団にしてみれば単なる駒の一つにしか過ぎない。また、新たなルフィを作ればいいだけだからだ。
問題はこのルフィが黒幕なのは確実だとしても、ルフィが頂上かといえばそう単純な話でもない。暴力団との関係だ。
暴力団組織は一次団体、二次団体、三次団体、四次団体……、とピラミッド型の組織構造になっているのはよく知られている。ルフィをはじめとした特殊詐欺事件に暴力団が関与しているのは疑いようがなくとも、実際どのへんまで暴力団が関与しているかはケースバイケース。例えば四次団体が組織全体のシノギとして大掛かりに関与している場合もあれば、三次団体の組員が単独で関与している場合もある。
いずれにせよ、上部団体の組長や幹部は個別の事例を知らないケースが多い。
理由は二つある。
一つは下手に知ってしまうと関与した組員が逮捕されたとき、芋づる式に組長まで逮捕されてしまうのであえて知らない体にしておくケース、半ば確信犯的に半グレたちとは一定の距離を置き、なにか揉め事があったときだけ当事者間でヤクザの話をする。
ちなみに、暴力団と関わりのない善良なる市民の方々はそんなバカなと驚かれるだろうが、山口組をはじめとしたすべての暴力団組織は違法薬物の関与が禁止されている。しかし、暴力団を抜きにして覚せい剤、その他の違法薬物の販売は実質的に不可能だ。もしかすると、大麻あたりであるとごく親しい仲間内での売買もあるかもしれないが、覚せい剤の流通にかぎっていえば暴力団の関与は不可避である。当然、ここに矛盾が生ずる。組織としてご法度の禁制品が組員の関与なしでの流通は不可避、これはいったいなんぞやと。
結局は本音と建前なのだ。上部組織の組長が下部組織の組員が覚せい剤の売買をしているのは百も承知だ。ただ、表向き、違法薬物の取り扱いを禁止にしておかないと、下部組織の組員が捕まったとき、連鎖的に上部団体の組長まで逮捕されてしまう。だからこそ、覚せい剤をシノギにするのは開き直りの大義名分としてどこの暴力団組織も禁止されている。万が一、下部組織の組員が覚せい剤取締法違反で逮捕されたら即刻破門状を出して、トカゲの尻尾切りをすればいい。
同様に特殊詐欺もなにか「悪さ」をしているのだろうと思うものの、とりあえず上納金を持って来てくれればそれ以上深く詮索しないが、上部組織と下部組織との暗黙の了解だったりする。ゆえに、例えばルフィがどこぞの暴力団に行きついたとしても、上部団体の組長は本当に内実を知らず、逮捕状を請求するのはかなり困難になる。
もう一つの理由はこれも暴力団の浅ましさであるが、羽振りのよさに目をつけられると上部団体の組長や幹部にシノギを横取りされる恐れがあるため、あえて隠しているケース。
だから、組員個人や四次団体など小さな集団で特殊詐欺に関与していたとしても、上には決してシノギの内実を言ったりしない。捕まってはじめて、アイツ、オレオレ(振り込め詐欺)をしていたのかと知る組長や幹部もいるぐらいだ。組員によっては足の引っ張り合いに脅え、常に疑心暗鬼、敵対組織や警察よりも同じ組織内の人間の方がよっぽど怖いと嘆くものすらいる。
かつて闇金をシノギとしていたとある組員(現在は組織を離脱、その後行方不明)、事務所当番や組の会合に出向く際には高級腕時計を外し、クルマも普段乗り回しているレクサスからわざわざワゴンRに乗り換えていた。「儲けているなんてわかったら兄貴にせっかくのシノギを横取りされてしまいますからねぇ」とこぼしていた。上納金も本当は期日に納められるのだが、あえて苦しいふりをして、今、なんとか金を集めていますので数日待ってくださいと演技をする念の入れようだ。身内に金を見せたら最後、鵜の目鷹の目で寄ってたかってむしり取られてしまう。
いずれにせよ、ルフィが逮捕され、ルフィ以下の金の流れを解明したとしても、ルフィ以上の金の流れを解明しないと今後この手の事件はまた起きる。ルフィにしてもその上に存在している暴力団にしてみれば単なる駒の一つにしか過ぎない。また、新たなルフィを作ればいいだけだからだ。