昨夜は『山椒』の居酒屋で「クローズアップ現代・やめたくてもやめられない 広がるオンラインカジノの闇」を見ながら酒を飲んでいた。
頭上のテレビにはオンラインカジノにのめり込み300万円の借金が出来てしまった男性の話やギャンブル依存症に苦しむ人達が映し出されていた。
「はあ?300万円打(ぶ)ったぐらいで依存症なんていってんの?俺らはベンツ一台どころか、家一軒、二軒打ってんだよな、なあマスター」(俺)
「そうだー」(マスター)
「300万なんて玄関どころか、庭にすら入ってねぇよ、バカ野郎、依存症なんて言葉は最低でも一千万は負けてからいえって話だよな、そうだろ、マスター?」(俺)
「そうだー」(マスター)
「だいたいな、人生なんてもんは稼いだ金より遣った金が多けりゃもうそれだけで人生勝ち組だよな」(俺)
「まったくだ」(マスター)
「200や300の金でガタガタいってんじゃねぇって」(俺)
「打(ぶ)ちが足りねぇから、こうしてしみったれたこといってんだろうな」(マスター)
「ホントだよ、しっかり骨の芯まで打(ぶ)ってさ、子どもの給食費を遣い込んでこそ、初めて一人前の打ち師(ぶちし)ってことだな」(俺)
「その通り」(マスター)
マスターは元々競輪狂、今は足を洗ったが、家一軒、競輪でスッたという剛の者、俺も多分馬ではそれぐらいいっている、いや、もっとか。昔、税務署に入られたとき、2000万円以上が使途不明金になっているといわれた、知らねぇよ、タコ、すべて打ちまったのさ。
「マスター、もう一本ちょうだい」(俺)
俺は冷酒の空瓶を左右に振る。
「あいよー」(マスター)
ここでする、こういうなんの生産性もなく、しょーもない話が僕は大好きです。