覆面の北枕

PK戦になればむしろワンチャンあるかと思ったが……。

1本目のシュート止められ、空気がガラリと変わり、天運はクロアチアに。PK戦までは勝利の女神はどちらに微笑むか、決めかねていたと思うが2本目のシュートも止められ、勝負あった。

真剣に戦っている選手や必死に応援しているファンには申し訳ないがPK戦はもはや博打の領分、駆け引きに加え、天運をいかに引き寄せるか、ここまで来ると技術自体に差異はない。

シュートを打つ選手はキーパーとの駆け引きもそうだが己自身との駆け引きでもある。ボールを置き、左を狙いたいと直感的に思った、するとすぐにその直感を疑うもう一人の自分が頭をもたげる。耳元でここは右だろ、右と囁く、そのまま直感を信じて左を押し通すべきか、それとももう一人の自分に乗っかり右を狙うか、技術を超えた、運否天賦でしかない。

これはまた止めるゴールキーパーも同じ。右に行くか左に行くか、丁半博打に近い。

今回、残念ながら試合会場の上空をさ迷っていた天運を手繰り寄せることが出来なかった。

たまたま少しだけ日本に運がなかった。

技術は過去最高レベルに到達したはずだ。