悪党の屁理屈
- 2022/12/03
- 23:39
金は欲しいが人を騙してまで欲しいかといえばそんなことはない。前にも書いた。
だから先日書いた振り込め詐欺の記事も俺にはまったくの蚊帳の外。
違法フーゾク時代、知り合いというほどのものではないが、ちょっとした顔見知りに特殊詐欺を生業(なりわい)にしている奴がいた。組織犯罪対策課、通称丸暴が常に動向をマークにしているアイツ。今年の初めにも特殊詐欺で捕まりテレビニュースでも大々的にも報じられた。
奴とは俺が違法フーゾクを辞めて以来、まったく交流はなく、時折入る情報は新聞やテレビのニュースで知るだけ、裏情報はおろか、連絡先すら知らない。むしろ、5ちゃんねるのアウトロー板などで、へー、アイツってそういう奴だったのかと知ることが多い。
俺が知る奴の印象は名うての詐欺師だけあり、人たらしに関しては確かに唸るものがあった。実際に会ったのは1度か2度、うろ覚えであるが、そのぐらいの薄い関係だ。奴はいかついなりをしていながらやたらと腰が低く、舎弟たちの面倒見がよかったように記憶している。それが舎弟たちを手懐ける打算なのか、純粋な帰属意識のなせる業なのかは知らない。今度飯でも行きましょうと誘われたが適当に生返事をして、それっきり。むろん行く気もないが。
果たしてその後の裁判で奴がどういう経緯を辿り、どういう判決が下されたのかまったく知らない、仮に有罪判決が確定すれば複数の前科前歴からも長期刑は免れまい。
そもそも俺は詐欺と違法薬物の販売は外道のすることだと思っている。真っ当に生きている人からすれば違法フーゾクも特殊詐欺も五十歩百歩かもしれないが、それでも俺はこんな奴と同列になんか見られたくないねと常に距離を置いていた。
弱きを助け強きを挫く、単なる犯罪集団でしかない現代の暴力団に青臭い任侠道を求めることのほうが的外れ過ぎて笑ってしまうが、年寄りを騙して金を奪う、いくらなんでもそりゃあねぇだろうと思ってしまう。
これが歌舞伎町に遊びに行き、悪質な客引きに引っかかってボッタクリの被害にあった、ボッタクリをまったく肯定するつもりはないが、なんというか、歌舞伎町であればある意味ボッタクリも許される、そう考えがちな加害者意識も一定程度は理解できる。被害者にしても歌舞伎町に近づかなければいいだけであり、鼻の下を伸ばしスケベ心を抱いた男の方にも落ち度はあろう。
端的にいえばライオンの檻である歌舞伎町、襲ったライオンが悪いのか、それとも檻に入った男が悪いのか、その程度の話にしか聞こえない。
また、男ばかりでなく女の方もタチの悪い男に引っ掛かり、最後は薬漬けにされてしまった、これもよく聞く歌舞伎町にありがちなステレオタイプの女子像であるが、俺から言わすとボッタクリ被害と本質はなんら変わりがなく、そもそも歌舞伎町になど足を踏み入れなければそんな悲惨なことにはならなかったとすこぶる醒めた目で見てしまう。
所詮、悪党の論理であるが、誘蛾灯に寄せれた成れの果てとしか思えず、クスリに溺れ、廃人になってしまったとしても同情の余地はない。
歌舞伎町が魅惑の不夜城なのか、それとも百鬼夜行の伏魔殿なのか、家庭や学校の情操教育だったり、培ってきた経験値だったりで如何ようにでも見えようが、一つ確実に言えるのは近づかなければ最低限悲惨な結末を迎えずに済む、なにを当たり前のことを……といわれても、やっぱり最終的にはここに行き着いてしまう。
だからこそ、歌舞伎町という狭いエリア内で起こる犯罪に関して言えば被害者も加害者も結局同じ穴の狢でしかなく、体力や知力の優劣によってたまたま捕食者と、被食者とに分けられているに過ぎない。弱肉強食、弱いものは強いものに喰われる、自然界での出来事がそっくりそのまま歌舞伎町で起きている。カオスなようであってその実、極めて分かりやすく単純な世界でもある。
そういった、起こるべくして起きる必然的なトラブルとはまるで無縁の別世界で、ひすら真面目に生きてきたお年寄りの大切な金をハゲタカどもがかっさらう、これは歌舞伎町のボッタクリ被害と比べ、悪辣さの次元が格段に違いすぎるため、到底許し難い。
俺自身、完全に足を洗ったとはいえ、悪党生活が長かったため、一般的なものの考え方と随分ズレが生じているのは弁えている。だからこそ、決して自分の考えを正当化するつもりなどないが、それでもやっぱり人間には踏み外したら人としてお仕舞いという分水嶺があると信じている。金が欲しいのは誰も一緒、でも、人の皮を被った外道には成り下がりたくない。そこだけは昔から一貫しているつもりだ。
もちろん、繰り返すが、俺の話はあくまでも悪党の論理であり、法の論理とは違う。量刑の多寡は別にして、歌舞伎町のボッタクリ被害も特殊詐欺による被害も犯罪被害には違いがない。
だが、どうしても同一には考えられず、特殊詐欺に加担する人も、同時に被害に合う人も一人でも減ればいいなと思っている。
これは嘘偽りのない本音だ。
だから先日書いた振り込め詐欺の記事も俺にはまったくの蚊帳の外。
違法フーゾク時代、知り合いというほどのものではないが、ちょっとした顔見知りに特殊詐欺を生業(なりわい)にしている奴がいた。組織犯罪対策課、通称丸暴が常に動向をマークにしているアイツ。今年の初めにも特殊詐欺で捕まりテレビニュースでも大々的にも報じられた。
奴とは俺が違法フーゾクを辞めて以来、まったく交流はなく、時折入る情報は新聞やテレビのニュースで知るだけ、裏情報はおろか、連絡先すら知らない。むしろ、5ちゃんねるのアウトロー板などで、へー、アイツってそういう奴だったのかと知ることが多い。
俺が知る奴の印象は名うての詐欺師だけあり、人たらしに関しては確かに唸るものがあった。実際に会ったのは1度か2度、うろ覚えであるが、そのぐらいの薄い関係だ。奴はいかついなりをしていながらやたらと腰が低く、舎弟たちの面倒見がよかったように記憶している。それが舎弟たちを手懐ける打算なのか、純粋な帰属意識のなせる業なのかは知らない。今度飯でも行きましょうと誘われたが適当に生返事をして、それっきり。むろん行く気もないが。
果たしてその後の裁判で奴がどういう経緯を辿り、どういう判決が下されたのかまったく知らない、仮に有罪判決が確定すれば複数の前科前歴からも長期刑は免れまい。
そもそも俺は詐欺と違法薬物の販売は外道のすることだと思っている。真っ当に生きている人からすれば違法フーゾクも特殊詐欺も五十歩百歩かもしれないが、それでも俺はこんな奴と同列になんか見られたくないねと常に距離を置いていた。
弱きを助け強きを挫く、単なる犯罪集団でしかない現代の暴力団に青臭い任侠道を求めることのほうが的外れ過ぎて笑ってしまうが、年寄りを騙して金を奪う、いくらなんでもそりゃあねぇだろうと思ってしまう。
これが歌舞伎町に遊びに行き、悪質な客引きに引っかかってボッタクリの被害にあった、ボッタクリをまったく肯定するつもりはないが、なんというか、歌舞伎町であればある意味ボッタクリも許される、そう考えがちな加害者意識も一定程度は理解できる。被害者にしても歌舞伎町に近づかなければいいだけであり、鼻の下を伸ばしスケベ心を抱いた男の方にも落ち度はあろう。
端的にいえばライオンの檻である歌舞伎町、襲ったライオンが悪いのか、それとも檻に入った男が悪いのか、その程度の話にしか聞こえない。
また、男ばかりでなく女の方もタチの悪い男に引っ掛かり、最後は薬漬けにされてしまった、これもよく聞く歌舞伎町にありがちなステレオタイプの女子像であるが、俺から言わすとボッタクリ被害と本質はなんら変わりがなく、そもそも歌舞伎町になど足を踏み入れなければそんな悲惨なことにはならなかったとすこぶる醒めた目で見てしまう。
所詮、悪党の論理であるが、誘蛾灯に寄せれた成れの果てとしか思えず、クスリに溺れ、廃人になってしまったとしても同情の余地はない。
歌舞伎町が魅惑の不夜城なのか、それとも百鬼夜行の伏魔殿なのか、家庭や学校の情操教育だったり、培ってきた経験値だったりで如何ようにでも見えようが、一つ確実に言えるのは近づかなければ最低限悲惨な結末を迎えずに済む、なにを当たり前のことを……といわれても、やっぱり最終的にはここに行き着いてしまう。
だからこそ、歌舞伎町という狭いエリア内で起こる犯罪に関して言えば被害者も加害者も結局同じ穴の狢でしかなく、体力や知力の優劣によってたまたま捕食者と、被食者とに分けられているに過ぎない。弱肉強食、弱いものは強いものに喰われる、自然界での出来事がそっくりそのまま歌舞伎町で起きている。カオスなようであってその実、極めて分かりやすく単純な世界でもある。
そういった、起こるべくして起きる必然的なトラブルとはまるで無縁の別世界で、ひすら真面目に生きてきたお年寄りの大切な金をハゲタカどもがかっさらう、これは歌舞伎町のボッタクリ被害と比べ、悪辣さの次元が格段に違いすぎるため、到底許し難い。
俺自身、完全に足を洗ったとはいえ、悪党生活が長かったため、一般的なものの考え方と随分ズレが生じているのは弁えている。だからこそ、決して自分の考えを正当化するつもりなどないが、それでもやっぱり人間には踏み外したら人としてお仕舞いという分水嶺があると信じている。金が欲しいのは誰も一緒、でも、人の皮を被った外道には成り下がりたくない。そこだけは昔から一貫しているつもりだ。
もちろん、繰り返すが、俺の話はあくまでも悪党の論理であり、法の論理とは違う。量刑の多寡は別にして、歌舞伎町のボッタクリ被害も特殊詐欺による被害も犯罪被害には違いがない。
だが、どうしても同一には考えられず、特殊詐欺に加担する人も、同時に被害に合う人も一人でも減ればいいなと思っている。
これは嘘偽りのない本音だ。