
昨夜は競馬で儲けた金(4万円)を握り締め、街中に出てみた。
行ったのはまったく初めての小料理屋さん、前々から気にはなっていた。軽くグーグル検索をしてみたものの、チェーン店でもなければ、ホームページもないので情報は殆どない。
こういうときになにも躊躇をせず、自然に暖簾をくぐれる人が羨ましい。俺は小心者のため、知らないお店に一人で行くのがとにかく怖い。冷静に考えればこちらは客なのだ、店側からすると本来ウエルカムなはずなのにどうしても足がすくんでしまう。
今日は意を決して行ってみる。がらり。
「すいません、一人ですが大丈夫ですか?」
時間的なものなのか、それともそういうお店なのか、今時分客は誰もいない。
気さくな大将がどうぞこちらにとカウンターを勧める。大将の対面に座り、おかみさんに生ビールを注目して刺身の盛り合わせ、牛筋の煮込み、ホッケの塩焼きを注文する。
「お客さん、こっちには仕事かなにかで?」
「いや、市内に住んでます、前々から気にはなっていたんですが、なんとなく入りづらくて、ハハハ」
「そうですよね、ウチの店は少し奥まったところにあるしね」
お通しはだし巻き卵とイワシの煮つけ、どちらもうまい。これは期待できそうだ。
お刺身が運ばれてきた。たまたまなのか、それともそういうスタイルなのかは判断しかねるが、マグロを中心にウニ、海老、鯛のお刺身だ。わさびをつけて食べる、ほー、美味い。
「この中トロ美味いっすね?」
「でしょう、いいところを出してますから」
続いて出た牛筋の煮込みもホッケも塩焼きもうまかった。写真は撮っていないが特にホッケは過去に食べたホッケの中でも一番といっていいぐらい美味かった。
「いやー、なんだろ、このホッケめっちゃ美味いっすね」
「ウチは開いたホッケを買ってくるんじゃなくて、ホッケを一本買ってきてそれを自分でさばいて出しているんです、だから、新鮮で美味いんです、よかったらこれどうぞ」
あん肝をサービスされた。また、このあん肝も濃厚でうまかった。来てよかった。お会計はまあこんなものだろうという値段。
「また、来ますのでよろしくお願いいたします、ごちそうさまでした」
丁寧に挨拶をして店を後にする。
俺好みのいい店だ。
そしてその足でそのままいつものバーに出掛け、お前も飲めとマスターと大はしゃぎしながら飲んで今朝は軽い二日酔い。実に楽しい一日であった。特になにもオチはない。