ニット帽
- 2022/11/04
- 10:05
毎朝、ウチの前を自転車で通るハゲがいる。
緑色のマウンテンバイクにまたがり、颯爽と駆け抜けるハゲ。
年のころは四十代半ばから五十代前半、如何せんハゲのため、年齢は不詳。ただ、このハゲが潔いのはハゲを真正面から受け入れているところだ。ハゲに目を背けるではなく、真正面から四つに組んで受け入れる、分かっちゃいるけどなかなか出来ることではあるまい。
おしなべてハゲとはハゲを受け入れられず、隠したがる人種である。とりわけ側頭部の長めの髪を、薄くなった頭頂部に被せる、いわゆるバーコードハゲがその隠したがる典型、しかしながらバーコードハゲを小賢しいと感じているのはふさふさ側の人間じゃなく、むしろこのマウンテンバイクのハゲ自身ではなかろうかと思うほど、彼は潔い。
何故ならマウンテンバイクのハゲは側頭部もバリカンで刈り上げ、見た目はスキンヘッドに近い。
俺は勝手にイイハゲと呼んでいる。俺は彼を見るたびにああイイハゲだなぁと溜飲を下げる。男はこうありたいものだなと思うのだが、残念なことに俺は毛量が多く、今のところハゲとは無縁だ。
そのイイハゲが今朝はニット帽を被っていた。イイハゲがニット帽を被り出すといよいよ本格的な冬の到来を告げる。
「どおりで今日は冷えるはずだ」
俺は手をこすりながら空を見上げた。よく晴れている。
緑色のマウンテンバイクにまたがり、颯爽と駆け抜けるハゲ。
年のころは四十代半ばから五十代前半、如何せんハゲのため、年齢は不詳。ただ、このハゲが潔いのはハゲを真正面から受け入れているところだ。ハゲに目を背けるではなく、真正面から四つに組んで受け入れる、分かっちゃいるけどなかなか出来ることではあるまい。
おしなべてハゲとはハゲを受け入れられず、隠したがる人種である。とりわけ側頭部の長めの髪を、薄くなった頭頂部に被せる、いわゆるバーコードハゲがその隠したがる典型、しかしながらバーコードハゲを小賢しいと感じているのはふさふさ側の人間じゃなく、むしろこのマウンテンバイクのハゲ自身ではなかろうかと思うほど、彼は潔い。
何故ならマウンテンバイクのハゲは側頭部もバリカンで刈り上げ、見た目はスキンヘッドに近い。
俺は勝手にイイハゲと呼んでいる。俺は彼を見るたびにああイイハゲだなぁと溜飲を下げる。男はこうありたいものだなと思うのだが、残念なことに俺は毛量が多く、今のところハゲとは無縁だ。
そのイイハゲが今朝はニット帽を被っていた。イイハゲがニット帽を被り出すといよいよ本格的な冬の到来を告げる。
「どおりで今日は冷えるはずだ」
俺は手をこすりながら空を見上げた。よく晴れている。