殿、御運が開けましたな
- 2022/07/08
- 14:25
信長が本能寺で横死を遂げる。
備中高松城攻めを信長に命じられていた木下藤吉郎(秀吉)はその一報を聞くと取り乱して泣き喚き、見境をなくしたというが、腹心の黒田官兵衛はニヤリと笑い、藤吉郎の耳元で、「殿、御運が開けましたな」とささやいたという。
安倍さんが凶弾に倒れたというニュースを見たとき、このシーンが真っ先に頭に浮かんだ。
信長の存在は織田家に連なる家臣団にすれば絶対的な安心感である反面、決して飛び越えることの出来ない果てしなく高い壁。織田家の家臣としてそれなりの地位に甘んじるのも生き方の一つであるが、所詮はそこまでである。しかも、当時の織田家には嫡男がいて、柴田勝家、丹羽長秀という有力な宿老が存在している。いくら信長が年功序列という旧態依然の人材登用に捉われず、当時ではかなり先進的な信賞必罰主義であったとしても、やはり農民上がりの秀吉からすると天下人など夢物語どころか、夢を見ることすらがおこがましいという話であったことであろう。さらにその秀吉の配下である官兵衛とすれば出世の目は断たれたも同然。今後、信長の手によって、天下が平定され泰平の世の中になれば、なんのかんのいっても重用されるのは古参の重臣たちであろうことぐらい想像するに難くない。
官兵衛がニヤリとするのももっともなことである。
安倍晋三という政治家の是々非々は別にして、自民党内で大きな影響力があるのは周知の事実。岸田総理は安倍さんと仲が悪いと言われているが、だからといって安倍さんを無視して人事や政策を決定することは出来まい。
自民党内では現在蜂の巣をつついたような騒ぎで情報もかなり錯綜していると思われるが、ここで誰が中国大返しの木下藤吉郎になり、黒田官兵衛になるのだろうかってことに興味がある。
大河ドラマ・葵徳川三代、物語は関ケ原の戦いから始まり、戦国の争乱は全くといっていいほど描かれていない。家康の物語にも関わらず、彼の人生のターニングポイントになった三方ヶ原の戦いや小牧長久手の戦いも描かれていない。
葵徳川三代が面白いのは戦に拘泥せず、徳川政権内での政治闘争を描いているから面白いのである。江戸幕府が家康を頂点とするピラミッド型の組織であるといっても実際は家康の子同士でもいさかいがあり、家臣も家臣で本多正純派、土井利勝派とに分れており、誰に付くかでその後の人生が決まる。だからこそ、皆、疑心暗鬼、その実は忠臣を装いつつ、互いに腹の探り合い、蹴落とし合い。それがたまらなく面白かった。
自民党だって実際はそうだろう。あれだけの巨大な組織だ、一枚岩なはずがなかろう。勝ち馬に乗りそびれると石破さんや河野さんのように人気はあっても冷や飯食いだったりする。
もちろん、民主主義国家でのテロ行為は決して許されない。自民党支持の反安倍を自称してきたが、だからといって鉛の弾をもって安倍晋三を倒すなどとは言語道断である。これだけはハッキリいっておく。
備中高松城攻めを信長に命じられていた木下藤吉郎(秀吉)はその一報を聞くと取り乱して泣き喚き、見境をなくしたというが、腹心の黒田官兵衛はニヤリと笑い、藤吉郎の耳元で、「殿、御運が開けましたな」とささやいたという。
安倍さんが凶弾に倒れたというニュースを見たとき、このシーンが真っ先に頭に浮かんだ。
信長の存在は織田家に連なる家臣団にすれば絶対的な安心感である反面、決して飛び越えることの出来ない果てしなく高い壁。織田家の家臣としてそれなりの地位に甘んじるのも生き方の一つであるが、所詮はそこまでである。しかも、当時の織田家には嫡男がいて、柴田勝家、丹羽長秀という有力な宿老が存在している。いくら信長が年功序列という旧態依然の人材登用に捉われず、当時ではかなり先進的な信賞必罰主義であったとしても、やはり農民上がりの秀吉からすると天下人など夢物語どころか、夢を見ることすらがおこがましいという話であったことであろう。さらにその秀吉の配下である官兵衛とすれば出世の目は断たれたも同然。今後、信長の手によって、天下が平定され泰平の世の中になれば、なんのかんのいっても重用されるのは古参の重臣たちであろうことぐらい想像するに難くない。
官兵衛がニヤリとするのももっともなことである。
安倍晋三という政治家の是々非々は別にして、自民党内で大きな影響力があるのは周知の事実。岸田総理は安倍さんと仲が悪いと言われているが、だからといって安倍さんを無視して人事や政策を決定することは出来まい。
自民党内では現在蜂の巣をつついたような騒ぎで情報もかなり錯綜していると思われるが、ここで誰が中国大返しの木下藤吉郎になり、黒田官兵衛になるのだろうかってことに興味がある。
大河ドラマ・葵徳川三代、物語は関ケ原の戦いから始まり、戦国の争乱は全くといっていいほど描かれていない。家康の物語にも関わらず、彼の人生のターニングポイントになった三方ヶ原の戦いや小牧長久手の戦いも描かれていない。
葵徳川三代が面白いのは戦に拘泥せず、徳川政権内での政治闘争を描いているから面白いのである。江戸幕府が家康を頂点とするピラミッド型の組織であるといっても実際は家康の子同士でもいさかいがあり、家臣も家臣で本多正純派、土井利勝派とに分れており、誰に付くかでその後の人生が決まる。だからこそ、皆、疑心暗鬼、その実は忠臣を装いつつ、互いに腹の探り合い、蹴落とし合い。それがたまらなく面白かった。
自民党だって実際はそうだろう。あれだけの巨大な組織だ、一枚岩なはずがなかろう。勝ち馬に乗りそびれると石破さんや河野さんのように人気はあっても冷や飯食いだったりする。
もちろん、民主主義国家でのテロ行為は決して許されない。自民党支持の反安倍を自称してきたが、だからといって鉛の弾をもって安倍晋三を倒すなどとは言語道断である。これだけはハッキリいっておく。