独身おっさんはどうやって友達を作れば
- 2022/06/12
- 15:04
先週、「独身おっさんはどうやって友達を作れば」というネットニュースが軽くバズっていた。
相談内容は、「会社以外の知り合いが全くいなくて危機感を覚えているのですが、いい年した独身のおっさんはどうやって友達を作ればいいのでしょうか」というもの。これに対して、回答者であるヨッピーさんは、「友達の飲み会混ぜてもらってそこから友達の輪を増やしていくとか…?」と提案。しかし、返ってきた言葉は「その友達がいないんですが」。
昔、三流ゴシップ雑誌の裏表紙には、意中の彼女と二人っきりになったとき、これを一滴相手の飲み物に入れると、たちまち彼女はあなたにメロメロという媚薬だかなんだかの極めて胡散臭い広告が載っていましたが、俺はひたすら、「そうじゃねぇよ、その意中の彼女と二人っきりになる方法を教えろや」と思っていました。だいたい二人っきりになれている時点でそんな媚薬を使わなくてもなんとかなんだろうよとひたすら冷めた目で件の広告を見ていた記憶がある。
それと同じでさ、酒飲んでワイワイやれば友達なんかできるだろうというのが、模範解答の一つであるが、ワイワイやっている時点で友達には不自由していないというのもまた一つの真理。
実際、まあ、俺も相談者側に近い人間であるから相談者の絶望は分からなくもないが、実はこれ、いざ実践してみると大したことがない。
今、俺は二軒ほどいい付き合いをしている飲み屋さんがある(ただ飲みに行く店はもっとあるよ)。近所の居酒屋と駅前のバーだ。どちらもたまたま近くにあるという以外なんの接点もない。両方ともいきなり入って行った。
ただ、これは特に友達を作ろうとかではなく、なんとなく居心地がいい店が見つかればいいやという程度の非常に軽いもの。少し飲み食いをして、ここはアウェイ感がプンプンして、違うと思えばそれでお仕舞いだし、意外に居心地がいいと思えばまた行ってみる、ただそれだけ。
それでまあ、居酒屋とは三年、バーとは二年の付き合いか、この居酒屋とバーを通して仲良くなった人もいる。
昔はさ、結構、斜に構えて、図らずも人には立ち入らず、立ち入らせずの不可侵な雰囲気を醸し出していた気もするが、人生も折り返し地点を過ぎるとそれではちょっと寂しいと思い、あまり肩ひじ張らず、自然体でいようと出掛けてみたら今の自分があるという。
そもそも、友達がいない人に共通するのは友達というものに対して過度の幻想を抱きがち、もしかすると走れメロスのような堅い絆で結ばれた親友を想起しがちかもしれないが、そういう親友とは次元が違うというか、バカ話をしながら酒を飲み、10万円を超えるような金は無理でも2、3万ならほらと貸してくれ、あわよくば自分が死んだとき、葬式ぐらいは来てくれるかなと思える程度の付き合いがあれば立派な友達だと思うのです(最近は別にカネに困っていないので誰にも借りたりはしませんが)。
幸いにも相談者は文面を読む限り、酒は飲めるであろうと思えるので、友達を作ろうとかと深く考えず、居酒屋にでも行ってみればいいのだ。但し、やはりチェーンはやめといた方がいいだろう、個人経営の店であまり混雑していないところに行き、静かに酒を飲む。繰り返すがここは違うと思えばさっさと帰ってしまってOK、義務的に粘る必要は毛頭ない。
しかし、何かしら気に入る要素があれば何品か注文して酒を飲む。帰るときはいくら客であろうと、ご馳走さまでしたと頭を下げる。出来れば「ホッケの塩焼き、とっても美味しかったです」ぐらいのことを言って帰る。
それでここが問題なのだが、一週間以内、出来れば2、3日以内にまた行く。当然、「あら、また来てくれたの」と喜んでもらえるでしょう、「いやー、この前のホッケ、美味しかったですから」、「ホッケもいいけど、今日仕入れたサバは脂が乗ってていいよ、今日はサバ食べてみたら」などと会話が繋がればなお良し。
こんな風にしていたらきっと友達は出来る。店の人とも仲良くなれるだろうし、他の常連さんとも仲良くなれる。出張で遠出をしたら甘いものでも土産に買っていけ。手前味噌ではあるが、最近は水戸の財閥のお嬢様(といっても60歳過ぎのおばちゃんだが)と仲良くなり、会えばお酒をご馳走になったりしている、「塩辛頼むから二人で半分こして食べない?」とか。
だが、望むのはここまで。
これ以上を望んではいけない。なにも親友を見つけようとか、嫁さんを探そうと思って行っているのではないのだ。刹那的かもしれないが、そのひと時、楽しい気分になれば十分なのである。
それじゃダメだ、一生付き合えるような親友が欲しいというのであれば俺には答えようがない。未だかつて居酒屋で、こいつとは親の血をひく兄弟よりもかたいちぎりの義兄弟などと呼べるような堅い絆で結ばれた人と出会ったことがないから。俺が唯一の親友と呼べるのは亡くなった兄貴分のIさんと某S姉貴だけだが、Iさんとは仕事で出会って互いに苦労を共にした仲だからこそそういえるのであって、一朝一夕にそうなれたわけではなければ、また、望んでそうなっていたわけではない、気付いたらそういう間柄になっていたというのが正直なところ。たまたまめぐりあわせの運がよかったといえるだけであり、Iさんにしろ、某S姉貴にしろ、まさに偶然の産物。
ともかく、堅く考える必要なんかさらさらなく、酒が飲めれば居酒屋に、酒が無理ならなにかペン習字でも、陶芸でもなんでもいいから習い事にでも出かけて、居心地が良ければもう少し通ってみようかとなれば結果はついてくる。
但し、下心丸出しの奴は無理。
気持ち悪がられて出禁になるのが関の山かと。
相談内容は、「会社以外の知り合いが全くいなくて危機感を覚えているのですが、いい年した独身のおっさんはどうやって友達を作ればいいのでしょうか」というもの。これに対して、回答者であるヨッピーさんは、「友達の飲み会混ぜてもらってそこから友達の輪を増やしていくとか…?」と提案。しかし、返ってきた言葉は「その友達がいないんですが」。
昔、三流ゴシップ雑誌の裏表紙には、意中の彼女と二人っきりになったとき、これを一滴相手の飲み物に入れると、たちまち彼女はあなたにメロメロという媚薬だかなんだかの極めて胡散臭い広告が載っていましたが、俺はひたすら、「そうじゃねぇよ、その意中の彼女と二人っきりになる方法を教えろや」と思っていました。だいたい二人っきりになれている時点でそんな媚薬を使わなくてもなんとかなんだろうよとひたすら冷めた目で件の広告を見ていた記憶がある。
それと同じでさ、酒飲んでワイワイやれば友達なんかできるだろうというのが、模範解答の一つであるが、ワイワイやっている時点で友達には不自由していないというのもまた一つの真理。
実際、まあ、俺も相談者側に近い人間であるから相談者の絶望は分からなくもないが、実はこれ、いざ実践してみると大したことがない。
今、俺は二軒ほどいい付き合いをしている飲み屋さんがある(ただ飲みに行く店はもっとあるよ)。近所の居酒屋と駅前のバーだ。どちらもたまたま近くにあるという以外なんの接点もない。両方ともいきなり入って行った。
ただ、これは特に友達を作ろうとかではなく、なんとなく居心地がいい店が見つかればいいやという程度の非常に軽いもの。少し飲み食いをして、ここはアウェイ感がプンプンして、違うと思えばそれでお仕舞いだし、意外に居心地がいいと思えばまた行ってみる、ただそれだけ。
それでまあ、居酒屋とは三年、バーとは二年の付き合いか、この居酒屋とバーを通して仲良くなった人もいる。
昔はさ、結構、斜に構えて、図らずも人には立ち入らず、立ち入らせずの不可侵な雰囲気を醸し出していた気もするが、人生も折り返し地点を過ぎるとそれではちょっと寂しいと思い、あまり肩ひじ張らず、自然体でいようと出掛けてみたら今の自分があるという。
そもそも、友達がいない人に共通するのは友達というものに対して過度の幻想を抱きがち、もしかすると走れメロスのような堅い絆で結ばれた親友を想起しがちかもしれないが、そういう親友とは次元が違うというか、バカ話をしながら酒を飲み、10万円を超えるような金は無理でも2、3万ならほらと貸してくれ、あわよくば自分が死んだとき、葬式ぐらいは来てくれるかなと思える程度の付き合いがあれば立派な友達だと思うのです(最近は別にカネに困っていないので誰にも借りたりはしませんが)。
幸いにも相談者は文面を読む限り、酒は飲めるであろうと思えるので、友達を作ろうとかと深く考えず、居酒屋にでも行ってみればいいのだ。但し、やはりチェーンはやめといた方がいいだろう、個人経営の店であまり混雑していないところに行き、静かに酒を飲む。繰り返すがここは違うと思えばさっさと帰ってしまってOK、義務的に粘る必要は毛頭ない。
しかし、何かしら気に入る要素があれば何品か注文して酒を飲む。帰るときはいくら客であろうと、ご馳走さまでしたと頭を下げる。出来れば「ホッケの塩焼き、とっても美味しかったです」ぐらいのことを言って帰る。
それでここが問題なのだが、一週間以内、出来れば2、3日以内にまた行く。当然、「あら、また来てくれたの」と喜んでもらえるでしょう、「いやー、この前のホッケ、美味しかったですから」、「ホッケもいいけど、今日仕入れたサバは脂が乗ってていいよ、今日はサバ食べてみたら」などと会話が繋がればなお良し。
こんな風にしていたらきっと友達は出来る。店の人とも仲良くなれるだろうし、他の常連さんとも仲良くなれる。出張で遠出をしたら甘いものでも土産に買っていけ。手前味噌ではあるが、最近は水戸の財閥のお嬢様(といっても60歳過ぎのおばちゃんだが)と仲良くなり、会えばお酒をご馳走になったりしている、「塩辛頼むから二人で半分こして食べない?」とか。
だが、望むのはここまで。
これ以上を望んではいけない。なにも親友を見つけようとか、嫁さんを探そうと思って行っているのではないのだ。刹那的かもしれないが、そのひと時、楽しい気分になれば十分なのである。
それじゃダメだ、一生付き合えるような親友が欲しいというのであれば俺には答えようがない。未だかつて居酒屋で、こいつとは親の血をひく兄弟よりもかたいちぎりの義兄弟などと呼べるような堅い絆で結ばれた人と出会ったことがないから。俺が唯一の親友と呼べるのは亡くなった兄貴分のIさんと某S姉貴だけだが、Iさんとは仕事で出会って互いに苦労を共にした仲だからこそそういえるのであって、一朝一夕にそうなれたわけではなければ、また、望んでそうなっていたわけではない、気付いたらそういう間柄になっていたというのが正直なところ。たまたまめぐりあわせの運がよかったといえるだけであり、Iさんにしろ、某S姉貴にしろ、まさに偶然の産物。
ともかく、堅く考える必要なんかさらさらなく、酒が飲めれば居酒屋に、酒が無理ならなにかペン習字でも、陶芸でもなんでもいいから習い事にでも出かけて、居心地が良ければもう少し通ってみようかとなれば結果はついてくる。
但し、下心丸出しの奴は無理。
気持ち悪がられて出禁になるのが関の山かと。