覆面の北枕

ロシアのワリエワ選手、なんか釈然としないよな。結局、表彰台に上がることがなかったため、恐らくこれで幕引きになるのでしょうけど、ドーピング違反は毅然と対処すべきじゃないのか、じゃないと、次元の違う話かもしれないが失格となった高梨沙羅選手も立つ瀬がないというか。

故意的なドーピング違反と悪意のないスーツの規定違反、俺が日本人というポジショントークはあるにせよ、俺はドーピング違反の方が罪は大きいと思う。どちらも公平公正な競技が出来ないという意味では同じだが、少なくともスーツの規定違反が直接選手の健康を脅(おびや)かすということはない。

片やドーピング違反、こちらは選手生命どころか、人命そのものを脅かす危険性があり、金メダルのためなら廃人になっても構わないという理由は到底看過できないぞって話。

だいたい、爺ちゃんの薬を誤って飲んでしまったというワリエワ選手側の声明を額面通りに受け取れるほどこちらもおめでたくはない、いくら信じ込みやすい性格の俺であってもさすがにその言い訳は苦しすぎる。もちろん15歳の少女であるから自ら進んで何がしかの禁止薬物を接種したとは思わないが、前科のあるロシアだろ、恐らく今回もまた、国家ぐるみで不正をしたんじゃないかと穿った見方をしてしまうのは俺の心根が腐っているのでしょうか。

「トリメタジジンは、狭心症や心筋梗塞などの薬で、酸素と栄養を与える冠状動脈を拡張する効果があり、日本では一般的な薬ではない。アスリートにとっては血管が広がることで血流が良くなり、心肺機能が高まる効果があると考えられます。ワリエワ選手が心臓疾患を抱えていないと仮定、正常な人がこの薬を摂取すると低血圧症になる可能性がある。冠状動脈を拡張すると、脳など他の血管も拡張され、血流の勢いが落ちるからです。低血圧を長く繰り返すと血液の循環が悪くなり、逆に狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患による重篤状態を引き起こしかねません」、ある医師のコメントである。

高梨選手に厳しいことを言ったのはこういうことがあったとき、毅然と抗議が出来なくなってしまうから、たとえ同胞であっても厳しく処断すべきというのもある。日本政府のダメなところってこういうときにとにかく及び腰、すぐに「遺憾です」というよく分からないながらもやたらと使い勝手が良い言葉でお茶を濁す。政府の偉い人が発する遺憾の意味を正しく理解できる人っていったいどれだけいるんだよ。

これは自民党政権であっても、旧民主党政権でも同じ。だからすべてにおいて舐められてしまう。ナショナリズムの精神が著しく欠如しているんだわ。ロシアや開催国の中国に強く抗議をして、余計な軋轢を生むことが怖いんだろうけど、その積み重ねが今の体たらく、その点トランプ大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領はエライと思った。