覆面の北枕

今朝、ニュースを見ているとコロナに感染した女性が自宅療養中、皆に迷惑を掛けてしまったとのメモを残し、自ら命を絶ったという。

すでに何回も述べているが大人の自殺は自己責任であり、「人間には生きる権利もあれば死ぬ自由もある」が俺の考え方ではあるけれど、さすがに今朝のニュースは考えさせられた。

彼女だって移された被害者だ。彼女の周りの人間がいったいどういう資質の人たちなのかは分からないが、咎めるような性格の人ばかりだったのか、それとも誰も咎めてはいないが、ひとり慚悔の念に苛まれ、死を選んだのかは分かりませんが、いずれにしても死んじゃダメだし、死ぬ必要もない。もし咎める人がいたのであればむしろ死ぬべきはそいつの方で、彼女が死ぬ必要などまったくない。

もちろん、コロナに感染した経緯は考慮すべきではある。密なるクラブで一晩中踊りまくったとか、闇営業を続けている歌舞伎町のホストクラブでどんちゃん騒ぎをしたというであれば確かに反省の余地はあるが、朝仕事をするために出勤し、会社で仕事をした後はスーパーに寄って帰宅する、休みの日は最低限度の外出にとどめ、基本的に家で静かに過ごす、このルーティンであればまったく引け目を感じる必要はない。これでコロナに感染するのは完全なるもらい事故、このもらい事故を咎められるのであれば会社を辞めてコロナが落ち着くまで無人島で暮らすしかない。

言うまでもなく、そんなことは現実的に不可能で、まともな人であれば出来るだけ密にならないよう気を遣いながら、手洗いやアルコール除菌を行い感染を防止する、せいぜい出来るのはここまでだって。恐らくここまで気に病んでしまう責任感の強い人であるから密になるなの指示を無視して遊んでいたとは到底思えない、無視して遊んでいるような奴ならそもそも自殺なんかしないと思う。

亡くなったのは東京の人らしいのだが東京で生活する以上、密にならずに過ごすというのは無理だ。出来るだけエレベーターを避けるとか、通退勤の電車をずらして混雑しない時間帯を利用するということぐらいしかないが、それだって限度はある。オフィスがビルの10階であればエレベーターを使うしかないだろうし、会社は18時に終わりましたが、ラッシュを避けるため、あと2時間ぐらい会社でスマホいじって時間を潰します、こんなの無理だろう。

ワクチンが市中に出回るまではいつ移ってもおかしくないという心持ちでいるべきだ。特に23区内であったり、横浜や川崎、さいたま市や千葉市などの大都市部であれば被弾を避ける明確な方法などない。手洗い、マスクをしてコロナという弾に出来るだけ当たらないようにするのはもちろんであるが、移ってしまっても引け目を感じる必要などさらさらない。本当に亡くなった方を思うと無念でならない。