焼き鳥を食べながら
- 2020/11/25
- 11:37

この三連休はどうしたかといえば割りといつも通り。遠出はせず、半径10km以内の移動のみですべて済ませた。連休明けに納品しなくてはならないものを完成させるなど、ボチボチ仕事をして後はのんびり。夜は最近見つけたお気に入りの焼き鳥店で晩酌したり(肉が大きくて美味)。とりあえず死なない程度に生きている。
前にも書いたが、仕事に人生を懸けたりはしない。もちろん、大成して歴史に名を残すような起業家の方はそれこそ全身全霊を懸けて仕事に取り組むのでしょうけども、それって考えようによってはかなり危うい。そこまでして成功できる人というのは一握りの中の更に一握り、言うなればスーパーマン、俺がそんなスーパーマンになどなれるわけがない。
一般的に成功者が時代の寵児としてもてはやされ、その陰に隠れた失敗してしまったという人はなかったものとして歴史の闇に葬られる。これがいわゆる生存バイアス。本当は失敗してしまった人の方が遥かに多いのだが、失敗してしまった人は失敗してしまったことを語りたがらないし、大衆が望むのも失敗談より、口当たりのいい成功談だ。自己破産経験者である故岸部シロー氏が、「オレを誰や思てんねん! 元金持ちやぞっ!!」 とギャグにしてお茶の間に笑いを提供したが、これなど相当稀有な例だ。テレビのしくじり先生にしても一見すると失敗体験を語る体になってはいるが、その実、あれに登場する人の大半が確かにどん底を経験していても今は見事に復活している、しくじりどころか成功者の話だったりする。
どうしても起業といえば脚光を浴びる有名社長にばかり目が行きがちであるが、その裏には人生を懸けたばっかりに大失敗、その後は一家離散して自己破産なんて例が山ほどある。
生まれ持った元々の性格もそうだが、俺は自分で成功者になれるなどとは露ほども思っておらず、ボチボチいい生活が出来ればいいやという、ふんわりとした凡そ欲望とは言えぬほど些少な欲望しかない。だから違法フーゾク時代も含めて背水の陣を敷いて商売をしたことなど一度もない。だからお前はダメなんだという意見は甘受するし、否定もしないが、しかし、このコロナ禍の厳しい状況においてもまあまあの生活が出来ているのも事実。
恐らく、俺みたいな考え方って起業家としては最低の部類だと思うのだが、仕事なんて身の丈よりちょっとだけ背伸びが出来ればそれでいいと思ってしまう。
今、コロナ禍で疲弊している人の大半は商売に人生を懸けてしまった人が圧倒的だと思う。みな一様にまさかこんなことが起きるなんて夢にも思わなかったという、いつでも一抜け出来るぐらいの状態にしておかないからなにかイレギュラーなことが起きると右往左往してしまう。結果、よくて自己破産、悪くて一家無理心中なんてことが現実として起きる。
自己破産しても、やることをやった、我が人生に悔いなしと、晴れ晴れした気持ちでいるのであれば結構だが、大抵は悲惨な生活を送る。マッカーサーは退任の際、老兵は死なず、ただ消え去るのみと語ったというが、そういう無我の境地になれる人はなかなかおらず、死ぬまで大半の人は欲得に支配され、あの時あんな商売をしなければよかったと慚悔の念に苛まれると思う。
俺は商売に失敗すること自体は全然構わないと思っている。ただ、転んでしまったときに再起不能になるのか、それともかすり傷で済むのか、そこはよくよく重視する。失敗してもかすり傷で済むのならやるし、不退転の決意でもって挑まなければならぬほどのスケールの大きな仕事はしない。その結果、ビッグチャンスを逃してしまったとしてもなにも悔しくはない。
今回書いたのはコロナ禍に於いてもそこまで影響を受けずに生きられる生き方。商売に真正面から向き合い、必死に戦っている方には申し訳ないが、高卒バカでも楽しく生きられる生き方を書いたに過ぎない。起業しようとしている人の夢や野心にケチをつけるつもりもない。
ただ、ホント、商売なんていうものは基本的に失敗する。起業して10年後に生き残っている人って1割未満という厳しい数値がある。これは事実としての数値。試しにもし10年前のタウンページがあればテキトーにパラパラめくって欲しい(果たして10年前のタウンページを持っている人がどれだけいるのかって話ですが)。殆どが、お掛けになった電話番号が現在使われておりませんでしょう。