覆面の北枕

俺がSNSを嫌いな理由って、フーゾク業時代に散々世の中の裏側を見てしまったからなんだろうと思う。

当時はSNSなんてハイカラなものはなかったが、それでも掲示板や個人ホームページは存在した。今思うとSNSの前時代的なものであるが、それでも文通ごっこをするのに十分な機能であったのは事実だ。

その文通ごっこを管理者の俺は寝ているとき以外はほぼリアルタイムで見ていました(誹謗中傷対策としてね)。

キモヲタが文字通り気持ちの悪い、痛過ぎる書き込みをする。嬢がカネのためだとタバコをプカプカふかしながら返信する。嬢が絵文字を使って掲示板の書き込みに返信するのはあくまでも飯のタネであったり、ホストに貢ぐための原資を稼ぐため、それ以上でもそれ以下でもない。一般の女性に相手にされないような残念な方が、手練手管(てれんてくだ)のスペシャリストである風俗嬢を落とせるわけはないのである。

一応、言っておきますが、俺のところは店外デート、客との交際は禁じていませんでした。金の力でも、見た目の良さでも、或いはトーク力でもなんでもいいのだが、落とせたのであればそれは客の勝ちと受け止めておりました。もちろん、個人的な交際でなにかトラブルが発生してもこちらは責任持ちませんよという前提条件つきではありますがね。

ともかく、まず以てWEBという世界でワチャワチャやっても殆どの場合が、なんの実利にもならんである。

芸能人、スポーツ選手、女子アナ、モデルなどがTwitterやインスタグラムで、昼間食べた「シェフの気まぐれランチ」の写真をアップしたとする。すぐにキモヲタが「美味しそうですねぇ～(#^.^#)一緒に食べたいな」なんて書き込みをする。冷静に考えれば分ると思いますが、オメーとなんか食べられるわけねぇじゃん。逆に聞きたいよ、オメーと飯を食うメリットってなによって。

有名人がキラキラした日常を文字や写真にするのはすべて銭にするためなんだって。

確かに、有名人自身、フォロワーの多寡が自尊心を満たすためのバロメーターにはなっていると思いますが、それだって突き詰めれば金なんだって。フォロワーが多ければ多いほど注目されて、テレビなどのメディアに取り上げられる可能性は増えるからね。

俺なんか、こういう現実を知っているからSNSはやらない。

本当に気の置けない仲間内だけで、連絡ツールとして使うのであればSNSも便利だと思います。或いはフォロワーになるとコンビニで唐揚げが貰えるとかの企画ならありかな（俺はそんな乞食みたいなことはしないけどさ）。

まあ、俺が何のかんの言っても世の中は変わらず、インフルエンサーである有名人、金儲けのネタにされる痛い人、まったくSNSなんかに興味のない真っ当な人とに鼎立されるだけだとは思いますが、正直知らず知らずのうちに喰い物にされている人を見ていると、憐憫の情を禁じ得ないわけです。そして、ただひたすら俺は喰う側にも喰われる側にもなりたくないと思います。少なくともSNS経由で秋波を送るような無様な真似はしたくないですね。