生命の神秘
- 2018/06/22
- 18:39

昨日大洗の水族館に出掛けてみた。いうまでもなく一人、ほっとけ。
なんの変哲もないイワシの写真である。
何故、イワシは上部が黒く、腹部はシルバーなのか。
知っている人ももしかすると多いかもしれないが、上部が黒い理由は海鳥などが上から海中を見た時、真っ暗な海中と同化して発見されにくくされるためだという、対して腹部がシルバーなのは海底から明るい海面を見上げた時、シルバー(若しくは白)のほうが太陽の光と同化して発見されにくくするためだという。これはサンマに限らず、サメを含め、大抵の回遊魚はこのコントラストである。ついでにいうと、海に潜るペンギンの白黒模様も同様の理由、腹部が白く、背中が黒い。
一応、生物学的にはそういう解釈である。
それを前提にして考えてみた。
確かに、上からの攻撃にも下からの攻撃にも対処するそのカラーリングはお見事という他ないが、俺はイワシの水槽を見ながらふと思ったのである、これってもともと魚類が誕生した瞬間からこのカラーバランスだったのであろうかと。素人考えではあるが恐らくそうではあるまい。初期の魚類は単色であったのではないかと推察する。激しい生存競争を繰り広げるうちに、種の保存のため、次第に白と黒に分かれたコントラストになっていったのではないかと思うのである。
仮に俺の考えが事実だとする。
例えば人間がサバゲ―でもいいし、実際の戦争でもいいのだが、ジャングルに潜入するときは迷彩色の服を着、場合によっては顔も草木柄に塗ったりする。これは言うまでもなく、人間が自らの意思でそうしている。
だが、魚の場合はどうだ。海鳥や自分より大きな魚に喰われたくないという潜在的な意思はあったにせよ、それだけで自身の体を白黒のコントラストにするのは不可能だろう。遺伝子レベルのその切実な思いが気の遠くなるような年月を経て、具現化していった結果、現在のイワシが出来上がった。
自然の調和というものは実に奥深い。簡単にイワシが捕らえられない代わりに、絶対に逃げ切れるレベルの迷彩色ではない。
簡単に捕まってしまえばイワシは絶滅する。かといって、全てが逃げ切ってしまえばイワシの数は増え続け、最終的にはイワシの食べる餌がなくなり、イワシは絶滅する。
きわめて抽象的な話だが、イワシの黒とシルバーのコントラストは確実に捕まえられてしまうわけでもなく、容易に逃げ切れるわけでもなく、ちょうどいい塩梅なのだ。この絶妙なさじ加減のいい塩梅が食物連鎖の均衡を保つ。
この辺が生命の神秘だなぁと感じる。
ちなみに俺は仕事がしたくないと現実逃避をして、ここにいるのも生命の神秘なのである。癒されるわ~。

