実家に帰ると親父が竹の棒を激しく地面に打ち付けている。
「いったいなにをしているのでしょうか・・・?」(俺)
「蛇殺してる。お母さんが蛇見ると大騒ぎするから蛇殺している」(親父)
「・・・・・・・・・・」(俺)
地面には見るも無残な50cm程度のジムグリが・・・。
ウチのおふくろの蛇嫌いは筋金入り、この世の中で蛇ほど嫌いなものはないという。まあそれは個人の嗜好の問題であるから構わないというか、仕方がないことなのだが、だからといってジムグリは無毒の蛇だ、殺すほどのことはないと思う。俺が実家にいたときは蛇を見つけても決して殺さず、自宅から離れた草むらまで持っていき、そこに逃がしてきたものである。
ちなみに俺はかつてアナコンダやニシキヘビなど多数の蛇を飼育し、蛇の扱いも蛇に噛まれた回数も日本一の風俗店経営者自認していた。風俗の世界では天下を獲れなかったが蛇飼育に関しては一家言を持ち、風俗界の頂点に立ったという自負がある。果たして風俗店経営者の中にどれぐらい蛇を飼っているがいる人がいるのかって話ですが。
爬虫類飼育の新たな法律が施行され、ニシキヘビなどの大型種の飼育には許可が必要になった現在、蛇の飼育はしていないが今でも蛇についての造詣の深さは茨城県内でも上位百番には入るだろうと思っている。いったい茨城県民の中にどれだけの蛇の研究をしているのかって話ではありますが。
いずれにせよ、蛇については子供のころから大好きである。好き過ぎで蛇の飼育のみならず、ハブの身を乾燥させ粉末にしたハブ粉をわざわざ沖縄から取り寄せて食べてみたりもした。無味無臭のそっけもないものであり、ギンギンになるという触れ込みでしたがまったく自分には効果が感じられませんでした。むくむくはおろか、ピクリともせず、今考えると本当にハブであったのかどうかも怪しいものではありますが・・・。
そんな蛇好きの俺からすると先日小学生の子が噛まれて一時意識不明の重体になったヤマカガシは十分な危険な蛇である。
牙による出血毒の他に、頸部皮下にも毒腺(頸腺)があり、頸部を圧迫すると毒が飛び散る。この毒が目に入れば失明の危険性も高くヤマカガシを見つけても安易に触れるべきではない。
なお、ヤマカガシの毒については地域差が非常に大きい。もしかすると地域によっては無毒のヤマカガシも存在するかもしれない。
ヤマカガシはマムシやハブなど、他の毒蛇と違い、毒蛇ではあるがそもそも毒を持ち合わせていない。毒を持つヒキガエルを食べることによってその毒を体内に溜め込み自己の毒としているのである。実際、生まれた時からヒキガエルを与えず飼育した場合、ヤマカガシは完全に無毒の蛇である。また、無毒のヤマカガシであってもヒキガエルを与えることによって有毒の蛇になるという面白い特性を持つ。
とはいえ、自然界に於いては毒の有り無しなど分からないのであるから無暗に触れるべきではない。子供が捕まえるなど生命に危険を及ぼすため禁忌である。親や教師はしっかりと子供たちに伝えてほしい。
わしはなにをヤマカガシについて力説しとるんだって話ではありますが。