身ぎれいな奴隷
- 2017/02/19
- 09:40




昨夜はとりあえず仕事も一服したということで、相方のKくんを伴って県庁そばのレストラン「COLK」で食事をしてまいりました。水戸では割りと強気なお値段設定でいい感じのお会計でしたが(俺の奢り)、たまの贅沢であるし、いい時間を過ごせたと、むしろ満たされた気持ちで店を後にしたのであるが、こういうプチ贅沢すら出来ない人というのが世の中には溢れている。
先週の日曜日にNHKで放映された「見えない貧困」、見た人も多いと思うが、番組の主題になったのは四十代子持ち、世帯収入がボーナスなし、共働きで月に25万円程度の家庭だ(母子家庭の世帯も放映されていたが)。
住むところがあり、クルマもある、もちろん三食きちんと食べて、身なりも綺麗、しかし、その実、生活はカツカツ、貯金は出来ず、給料日前はいつもピーピー言っている、そんな家庭だ。旅行や外食などはとんでもなく、子供に塾や習い事をさせる余裕もない。いわゆる相対的貧困と呼ばれる階層である。
俺はこの階層を前々から「身ぎれいな奴隷」と呼んでいる。毎月カツカツでもとりあえずなんとなく生活が出来てしまう20万円ぐらいの金を貰えているため、却ってその生活環から抜け出せず、現状の生活に甘んじ、縛られたままであるから奴隷。これが電気が止まる、ガスが止まる、今晩食べるコメもないという夜逃げするレベルの貧困ならまだ別なのだが日本の場合、月に20万円あればとりあえず最低限度の文化的な生活は保障される。
しかしながら、保障されるというだけであり、実態は資本家に生かさず殺さず束縛されているに過ぎない。自由主義の世の中ですから辞めるのはむろん自由、だが、辞めてしまうと貯金もなく、退職金もない非正規雇用のため、即生活が困窮する(自己都合だから失業保険もすぐに貰えないしね)、だから納得はいかなくとも今の生活にしがみ付き、拘泥する。つまり、なんとなく生活出来てしまうという、見えない鎖に繋がれている奴隷に過ぎないというワケ。
でも、これって、俺から言わすと自分に甘えているだけなんだよね。
そんなこと言うと、甘えてない、まともな職もないし、母ちゃん、子供を食わせなくちゃならねぇから給料が安くても我慢して働いてんだよとお𠮟りを受けるかもしれませんけどね、それこそ、ふーんって話でさ、世の中には佐川急便とか、トヨタの期間工とか、稼げる仕事はいくらでもある。でも、それはキツいのが分かっているから嫌だって話でしょ。ね、ほら、やっぱり今の生活に縛られたままの奴隷じゃん。
今の日本の労働って自分もまかりなりにも経営者だからわかりますけど、実は割りと適正な賃金になっていると思うのね。20万円しか貰えない人というのはそれだけ価値でしかないのは事実です。本当は百万円払う価値があるんだけど、もったいないからって20万円しか払っていないなんてケースは殆どないといえる(ゼロではないだろうけど、それは芸能人ぐらいなもんだろう、最近辞めて幸福の科学に入信した清水なんとかって人とかさ)。
もちろん、それは資本家側の論理であって労働者個人の意向とは意識のレベルで乖離はします。もっと欲しいと願うのは人情だろう。ただ乖離はしてもだからなんなのって話であり、表向き、「従業員は家族」だなんだといったところで正直労働者個人のことなどどうでもいいと思っているのが大半の経営者だ。ましてや企業が大きければ大きいほどそう、イチイチ顔も知らん、イチ労働者になんざ気を遣ってなんかいられない。
じゃあ、見えない貧困に束縛されている「身ぎれいな奴隷」はどうするか?
残念ながらどうしようもないです。高卒、若しくは三流私大の文系学科卒でなんの資格もなし、こんな人をどうかできるほど社会は寛容ではない。中卒でもプログラミング技術はずば抜けているとか、デザインセンスに長けているとかであればもしかしてなんとかなるかもしれないが、そもそもそういう人はハナから何とかなっているのでここでは議論にもならない。
どうするか?とにかく自分たち夫婦の人生は諦めてもらうしかない。残念だけど。
だからこそ、仕事が終わったら牛丼屋でバイトするとかして、せめて子供が塾に通えるぐらいはしてやれ。
結局なんのかんのいって学歴のあるやつが優遇される世の中なのだ。しっかり勉強させていい大学を出させ、上場企業の社員か公務員にさせるのが負の連鎖を断ち切る一番の妙薬である。貧乏な家庭の子にバカが多いというのはこれは数字でも明らかです。バカだから貧乏でそのバカの遺伝子を受け継いでしまったからやはりバカの子はバカなんだということもあるにはあるが、それよりも憂うべきは本当は出来る子なんだけど、親がまともな教育を受けさせなかったばっかりに読み書きそろばんを覚える前に社会に出てしまったというケース。これは悲惨だ。
http://www.nenshuu.net/sonota/contents/toudai.php ※参考 東大生の親の年収データ
俺の生まれた昭和48年というのは第二次ベビーブームの頂点で、入試が一番困難だった時代だ。
しかし、今は児童の数が減っており、俺たちの時代よりも遥かに楽にいい大学に入れる。まともに勉強しさえすれば東大早慶上智は無理でも、MARCHクラス(明治や法政など)は入れる。それさえ、無理なら調理師とか看護師など一生使える資格を取らせろ。
なんか凄くきついことを言っているような気もするが今更甘い話をしても仕方あるまい。本音で言う。
お前は?ん、俺?
俺は能力があるので貧困に関してはなんも心配していない。イラッとするだろうが、ごめん事実です。
次回は労働の搾取について語る予定。