母方の従姉に、綺麗なお姉さんがいる。
周囲も羨む仲睦まじいおしどり夫婦だった。だった、つまり、過去形、昨年末に離婚した。
姉さんはアイスバケツチャレンジで有名になった筋萎縮性側索硬化症に冒され、生活がままならなくなり、ここにきていよいよ寝たきり生活になってしまった。旦那さんを愛するがゆえに、これ以上迷惑を掛けまいと自ら身を引いたのである。お袋からこの話を聞いたとき、暫し呆然、あとから涙が止まらなかった。これを書いている今も二人のことを慮ればついつい涙が出そうである。
旦那さんには素敵な人を見つけて残りの人生を私の分まで楽しんで生きて欲しいというのが願いだったそうだ。
もちろん、旦那さんも最後まで離婚には反対した、病苦の妻をそのまま受けれて一緒に人生を歩みたいと。
だが、姉さんの強い意志が最終的には優先された。小説のような話だが、相手を思いやる気持ちが大きすぎて別れを選択する、あまりにも切なすぎる話だ。
酷な言い方をすれば客観的に見て、姉さんの人生もそう長くはあるまい。治療法がないのが現実だ。自分を基準にして申し訳ないが人生の長短にはさほど意味がないと思っている。短くたって充実した時間を過ごせれば満たされた人生であるし、長くとも無為に過ごすだけであればそれはひどくつまらない人生だ。だからこそ、姉さんに願うのは残りの人生を悔いのないよう、苦しんでもいいから思いっ切り楽しんで欲しいと思う。また、別れたご主人も姉さんの意志を酌んで素敵な人を見つけ幸せになって欲しい。そうでなければ彼女も浮かばれまい。
歌の文句じゃないが、人生いろいろ、年末年始、考えさせられましたねぇ。