最近出版された、ホリエモンの『刑務所なう。』という本を読んだのだが実に面白かった。
あまり難しいことは書いておらず、単純にその日食べたもの(朝昼晩全食)と作業したことなどがずらずら~と書いてあるだけの日記本である。
自分が50日間入っていた留置場の経験と刑務所内の生活を比較してみるとかなり面白い。
部分的にそこは留置場より刑務所の方がよさそうだなんてところも結構ある。
まず、刑務所との大きな違いだが留置場には映像関連のものがまったくないということだ。
情報は雑誌か新聞しかない(留置場から取調べ室に移動する時、刑事課で誰かがテレビを見ていると少し見れる、水戸署の場合ね)。
しかし、刑務所には見られる番組に限りはあるとはいえ、テレビがあり、定期的に映画鑑賞会がある。
これは大きい。
もちろん新聞も読める。
食事に関しては『刑務所なう。』を見る限り、刑務所の方が圧倒的に上だ。彼が収監されている長野刑務所は特にそうらしいのだが飯が上等で有名らしく、普段俺が食っているものより遥かに上等なものを食べているのには正直参った(笑)。
ただ、留置場では飯が気に入らなければ自腹で上等な食事を頼めるし(寿司とかもあるらしいが頼んだことはないので具体的にどんなものがあるかは不明)、お菓子やパン、ジュースなども購入できるから考えようによってはどっこいどっこいだとも言える。
ちなみに刑務所では食べ物の購入は出来ない。
規律は言う迄もなく刑務所の方が圧倒的に厳しい。
留置場では大声で叫ぶ等の行動をしない限り、基本的に何も言われない。みんなごろごろしながらおしゃべりしたり、本読んだり、或いは昼寝したりしている、のんきなもんだよ(笑)。
てか、留置場では暇そうにしてると、看取のお巡りさんがしゃべりかけてくるんだけどね。
「ようよう覆面ちゃ~ん、今、水戸のキャバや風俗ではどこがお薦めなの?」(看取)
「あ?知らねぇよ」(俺)
「またまた~。今度給料貰ったら行ってくるから教えてくれよ~」(看取)
「…」(俺)
また、刑務所と違い留置場は冷暖房完備で空調は常に快適温度に設定されているため、寒い暑いで悩まされるということはない。
そこは留置場の圧勝。
ただ、長野刑務所には扇風機はないみたいだが(うちわは貸してくれる)、留置場で一緒の房に入っていた服役経験者のS君の話によると、栃木の黒羽刑務所には夏は扇風機があり、冬は房の外側の廊下にストーブが置いてあったためそこまでしんどくはなかったのとことである。一説によると網走刑務所などは冬場ほっとくと凍死者が出てしまうため、暖房がかなり利いて暖かいという話を聞いたことがある。
いろんなことを総合的に考えると、自分なんかは行ったことはないがやはり刑務所より留置場の方がテレビは見れなくとも楽だよなぁと思ってしまう。
だけど、俺の隣の房にいた前科数犯のAさんなどはこんなところ(留置場)で腐っているぐらいなら早く刑務所に行きてぇと言っていた。
Aさん曰く、規律は厳しくとも圧倒的に刑務所の方が楽しいのだそうだ。
住めば都か?
そう考えると、わざと刑務所に入りたくて無銭飲食などをする奴がいるのもうなずける話だ。
寒さに震えて死ぬぐらいなら数か月程度刑務所に入っていた方がよっぽどマシだと考える不謹慎な奴がいても不思議ではない。
知り合いの刑事もいっていたが寒くなってくるとわざと捕まるようなことをやって警察のお世話になる奴がいて困るそうだ。
暖房完備の留置場で年を越して2月までいて、暖かくなったら刑務所で数か月過ごすという生活パターンらしい(わざと懲役1年未満になるような、数千円程度の万引きとか無銭飲食とかね)。
いずれにしても一般人には窺い知れない知らなくていい世界なんだけどさ。