巨星墜つ
- 2015/10/27
- 16:35
母方の婆さんが亡くなりました。享年101才。
自宅の畳の上で、眠るように安らかな最期を迎えた。
ぜんまい式の時計が刻々と時を刻み、最期はばねが伸びきったところで静かに止まる、病院のベッドで最期を迎える人が圧倒的に多い中、人間として最高の終わり方である。
俺はね、こんなクソ生意気な奴なんだけどさ、婆さんのことは常々化け物だと思っており、唯一、頭の上がらない人物であった。婆さんからすればいくら四十を過ぎたとはいえ、所詮俺などはどこまでいってもヒヨっこ、口の悪い婆さんに会えばいつも叱られてばかりだった。
しかし、その口さがない小言もきちんと一本筋が通っており、俺としてみればなにを言ってやんがんだいと悪態をつきながらも常々その心地よさに酔いしれていたといっていい。
それにしてもだ、江戸時代から生きていた人が大勢いる時代に生まれ、戦前は朝鮮に渡り、戦後は塗炭の生活苦の中、教育は財産だと、自分は炭鉱で土方仕事をしながら泥汗にまみれ、娘は全員高校を出させ、息子二人を大学にまで行かせた、もう、俺なんぞがどう逆立ちしても婆さんにはかなわないのである。
そんな婆さんから、口うるさい小言を言われなくなるのかと思うと、寂しさもひとしおであるが、明日の告別式は笑って送り出したいと思っている。しおらしい振る舞いは婆さんも望むまい、いなくなって清々したわいと悪態ついて送り出そうと思っている。
さらば。
自宅の畳の上で、眠るように安らかな最期を迎えた。
ぜんまい式の時計が刻々と時を刻み、最期はばねが伸びきったところで静かに止まる、病院のベッドで最期を迎える人が圧倒的に多い中、人間として最高の終わり方である。
俺はね、こんなクソ生意気な奴なんだけどさ、婆さんのことは常々化け物だと思っており、唯一、頭の上がらない人物であった。婆さんからすればいくら四十を過ぎたとはいえ、所詮俺などはどこまでいってもヒヨっこ、口の悪い婆さんに会えばいつも叱られてばかりだった。
しかし、その口さがない小言もきちんと一本筋が通っており、俺としてみればなにを言ってやんがんだいと悪態をつきながらも常々その心地よさに酔いしれていたといっていい。
それにしてもだ、江戸時代から生きていた人が大勢いる時代に生まれ、戦前は朝鮮に渡り、戦後は塗炭の生活苦の中、教育は財産だと、自分は炭鉱で土方仕事をしながら泥汗にまみれ、娘は全員高校を出させ、息子二人を大学にまで行かせた、もう、俺なんぞがどう逆立ちしても婆さんにはかなわないのである。
そんな婆さんから、口うるさい小言を言われなくなるのかと思うと、寂しさもひとしおであるが、明日の告別式は笑って送り出したいと思っている。しおらしい振る舞いは婆さんも望むまい、いなくなって清々したわいと悪態ついて送り出そうと思っている。
さらば。