TPPはまあ予想通りとはいえ、『米』という聖域を守れなかったのはがっかりしたな。これで日本はアメリカの第51番目の州になってしまったワケだ。
TPPが完全に施行されるのが凡そ10年後、関税が撤廃されることにより、現在の物価水準と比べると大抵のものが大幅に安くなるという。(あくまでも為替レートが変動しないと仮定して)牛丼など1杯150円になるそうだ。
一見すると、懐に優しいようだが1杯150円の牛丼を売っていったいいくらの粗利が取れるのであろうか?一般的に、値段が安くなればなるほど粗利も減っていく。
であれば、薄利多売で数をこなせばいいじゃないかというかもしれないが数をこなせば当然その分人件費や光熱費にしわ寄せがくるからそう単純な話ではない。だいたい、いくら安くたって牛丼など一人で何杯も食べるものじゃない。昔、ご飯を残すと叱られなかったか、「アフリカの飢えで苦しんでいる人のことを考えなさい。だから残さず食べなさい」と。
しかし、アフリカの難民だって腹がいっぱいになれば残すのである。
物価下落によるハイパーデフレスパイラルが起きなければいいなと願うしかない。デフレで喜ぶのは給与が変わらない公務員と毎月定額の収入を得ている年金生活者ぐらいなもんで民間の労働者は数をこなすために労働時間は増えるが給与は変わらない、或いは減額ということも考えられる。また、企業は体力を温存しようとすればするほどリストラをせざるを得なく、そのしわ寄せは当然、残った従業員が割りを食らい、干された人たちは再就職に苦しむ。
それと、農業を廃業する人が続出すると思うのだが農地はどうなるのであろうか。
調整区域は外れることなく、そのままで売却も出来ず、荒地としてほったらかしということにならなければいいのだが・・・。
もちろん、自動車、海外向けの産業インフラ関連製品など、工業製品の輸出には大いに期待している。結局、落とし処は結果的にプラスとマイナスを相殺して差し引きがマイナスになっていなければいいというのが大きな考え方だと思う。
いずれにしてもアメリカにキンタマを握られてしまったワケだ。安保法案よりもよっぽど考えなきゃいけない問題だと思うぞ。