親父の願い
- 2012/03/25
- 00:53
先日実家に帰り、お彼岸のお参りをしたときのことである。
その時、カッちゃん(親父)が唐突に質問してきたので誤魔化しなしで報告しておく。
「おめぇは手を合わせて何を考えてんだ?」(親父)
「は?そんなもん、安らかにお眠りくださいってもんじゃん、特に深い意味なんかねーよ」(俺)
「俺はよう、今までは宝くじに当たりますようにだったが最近は裁判員に選ばれますようにに変わった」(親父)
「はぁ?なに、親父は仏壇や墓に手を合わせてる時にそんなこと考えてんの?先祖や自分の親父やおふくろが眠る墓に向かってそんなこと考えてたの?」(俺)
「そうだよ」(親父)
「…」(俺)
「俺は死ぬまでに一度でいいから裁判員になって法廷に立ちてぇんだよ」(親父)
「一度でいいっていうか、制度的に二度は選ばれんだろう…、てか、なんでそんなにも裁判員になりたいわけよ?」(俺)
「日本の判決は甘すぎる(ま、確かにそれは一理ある、だから俺がシャバにいるわけだが、笑)。その腑抜けた日本の法制度に一石を投じてぇわけよ。俺は裁判員になったら殺人はもちろん、(手で自分の首を斬る仕草をしつつ)振込み詐欺も泥棒もすべて死刑にする」(カッちゃん)
「泥棒や詐欺師を死刑にするのはさすがに無理だろう。殺人だって、普段からひどいいじめを受けててさぁ、我慢の限界が来て思わず衝動的に刺し殺しちゃったという場合もあるだろうし…」(俺)
「だからてめぇはダメなんだよ。詐欺でも泥棒でも一律死刑にして、犯罪者はベルトコンベア式にどんどん殺してしまえば犯罪は減る。犯罪が減れば警察官も減らすことが出来る、それは結果的に無駄な税金を減らすこともつながるんだよ、バカ」(親父)
「はぁ…。仮に裁判員に選ばれたとしてもだよ、勝手に判決は出せないんだけど。あくまでも刑法に則って、過去の判例を鑑みながら裁判官や他の裁判員の人達と話し合って総合的に決めなきゃならない」(俺)
「それはわかってるけどよう、あー、選ばれねぇかなぁ、チキショーめ。もし選ばれたら公民館に町内の人みんな集めて、自分、裁判員に選ばれましたって、報告すんだ。ちょっとした村の英雄だな、ふふふっ」(親父)
すべて分かりました。
この人、結局は目立ちたいだけなんだと。
まさか選ばれんとは思うけど、万が一選ばれたら、絶対に目立ちたがり屋の親父ことだ、NHKや新聞社のインタビューには率先して応じるに違いない。
下手したら裁判員経験者のセミナーなんかで講演をしてるかも知れない。
俺と違ってホント、目立つことが大好きだ。
余談だが若い頃、カッちゃんが競泳の練習を一生懸命にやったのも、速く泳げるようになるためではなく、大会で自分の名前が呼ばれ、スタート台に上るのがすごく気持ちいいからなんだってさ。
会場の女どもがみんな自分のことを注目していると思ったら震えるぐらいに気持ちいいんだと。
知らんがな。
その時、カッちゃん(親父)が唐突に質問してきたので誤魔化しなしで報告しておく。
「おめぇは手を合わせて何を考えてんだ?」(親父)
「は?そんなもん、安らかにお眠りくださいってもんじゃん、特に深い意味なんかねーよ」(俺)
「俺はよう、今までは宝くじに当たりますようにだったが最近は裁判員に選ばれますようにに変わった」(親父)
「はぁ?なに、親父は仏壇や墓に手を合わせてる時にそんなこと考えてんの?先祖や自分の親父やおふくろが眠る墓に向かってそんなこと考えてたの?」(俺)
「そうだよ」(親父)
「…」(俺)
「俺は死ぬまでに一度でいいから裁判員になって法廷に立ちてぇんだよ」(親父)
「一度でいいっていうか、制度的に二度は選ばれんだろう…、てか、なんでそんなにも裁判員になりたいわけよ?」(俺)
「日本の判決は甘すぎる(ま、確かにそれは一理ある、だから俺がシャバにいるわけだが、笑)。その腑抜けた日本の法制度に一石を投じてぇわけよ。俺は裁判員になったら殺人はもちろん、(手で自分の首を斬る仕草をしつつ)振込み詐欺も泥棒もすべて死刑にする」(カッちゃん)
「泥棒や詐欺師を死刑にするのはさすがに無理だろう。殺人だって、普段からひどいいじめを受けててさぁ、我慢の限界が来て思わず衝動的に刺し殺しちゃったという場合もあるだろうし…」(俺)
「だからてめぇはダメなんだよ。詐欺でも泥棒でも一律死刑にして、犯罪者はベルトコンベア式にどんどん殺してしまえば犯罪は減る。犯罪が減れば警察官も減らすことが出来る、それは結果的に無駄な税金を減らすこともつながるんだよ、バカ」(親父)
「はぁ…。仮に裁判員に選ばれたとしてもだよ、勝手に判決は出せないんだけど。あくまでも刑法に則って、過去の判例を鑑みながら裁判官や他の裁判員の人達と話し合って総合的に決めなきゃならない」(俺)
「それはわかってるけどよう、あー、選ばれねぇかなぁ、チキショーめ。もし選ばれたら公民館に町内の人みんな集めて、自分、裁判員に選ばれましたって、報告すんだ。ちょっとした村の英雄だな、ふふふっ」(親父)
すべて分かりました。
この人、結局は目立ちたいだけなんだと。
まさか選ばれんとは思うけど、万が一選ばれたら、絶対に目立ちたがり屋の親父ことだ、NHKや新聞社のインタビューには率先して応じるに違いない。
下手したら裁判員経験者のセミナーなんかで講演をしてるかも知れない。
俺と違ってホント、目立つことが大好きだ。
余談だが若い頃、カッちゃんが競泳の練習を一生懸命にやったのも、速く泳げるようになるためではなく、大会で自分の名前が呼ばれ、スタート台に上るのがすごく気持ちいいからなんだってさ。
会場の女どもがみんな自分のことを注目していると思ったら震えるぐらいに気持ちいいんだと。
知らんがな。