実は3月から水面下で戦争の準備をしておりました。
幸い、相応の軍資金を用意することが出来た。弾は揃った。
水戸に統括本部となる事務所を設置し、明日六月一日がその事務所開き。まずは手始めに茨城県内を攻めつつ、同時に宇都宮といわきにも事務所を借り、攻め込もうと考えている。
思えばここに来るまで長かった。逮捕されてから五年だ。学ぶことに一年を費やし、その後はひたすら素浪人生活、下げたくもない頭を下げ、泥水を啜り、辛酸を舐めたのもこのときのためである。
俺は今更贅沢な思いがしたいとも、幸せな家庭を築きたいとも思っていない。それは普段から言っている通りだ。では、何故凡庸な勤め人をよしとせず、あえて事業という危険な賭けを犯すか。
これはもはや俺に与えられた天命としかいいようがない。
三国志の英雄諸葛孔明が魏を討ち果たすため、出師の表を著わし、五度に渡り、北伐を決行したのは先帝劉備の意思に基づくものというよりも、むしろ孔明自身に与えられた天命だと思う。
そして、アドルフ・ヒトラーがオーストリア、チェコを併合し、パリを占領したのも天命だと思う。
俺もスケールが小さいながらも与えられた天命を全うしたいのである。
成功する保証などどこにもない。野たれ死ぬのはもとより覚悟のうえ、雲散霧消、最期は路傍の石ころとなり、露と消えるは我が本懐である。名を残そうとなど、毛の先程も望んではいない。
天命に従い、その天と戦うのみである。
死ぬか、生きるか、人生最後の勝負に打って出ます。