五回忌
- 2015/02/08
- 19:17
チンピラの覆面君が死んで本日で五年が過ぎた。
15時ちょっと前に任意同行を求められ、23時過ぎまで任意という名の強制事情聴取、その後警察の目論見どおり無事(?)逮捕状が発布され、留置場の檻の中にぶち込められたのは時計の針がちょうどテッペンで重なりあったころ、違法なことをやっている以上、逮捕は元より覚悟していたが、いざ現実のものとなると俺も人の子、やはり堪えた。身重のカミさんがいれば尚更だ。
とはいえ、起こってしまったものは今更どう足掻いても変わらない。その現実は素直に受け入れた。本当に無実であるなら最高裁まで争うがこっちは悪の商人、殺人とドラッグ以外の悪事は一通り経験している。正直、本件である売春防止法以外での立件のほうがよっぽど怖かった。あれもこれもと積み重ねた悪事が走馬灯のようにぐるぐると頭に浮かんでは消えた。
どれだけ余計なことを詮索されずにここ(留置場)を抜け出すかばっかりを考えた。無罪を争うのであれば主義主張は正反対であるが共産党系の弁護士を雇って係争したことだろう。しかし、余計なことを詮索されずいかに穏便に済ますかを考えた俺は普段からこういうときのために付き合っていた悪名高いI先生を私選弁護士に据えた。I先生を私選弁護人にした瞬間から刑事、検事の対応が変わった。留置場の看守のおまわりには、「お前、Iさんを頼むってスゲーな~、どういうつながりだよ」と驚かれた。
結局I先生との共闘がうまくいったといえるだろう。途中何度か検事に揺さぶりをかけられたがI先生の指示通りのらりくらりとかわし、結局本件である売春防止法のみの立件で済み、執行猶予判決はもちろん、罰金は5万円とこの手の事件判決にしては格安、追徴金もなしである。恐れていた別件での逮捕、起訴はなかった。
とはいえ、強がるわけではないが悪いことをして過ごした11年も逮捕拘留された50日も、すべていい経験をしたと思える。そりゃあ逮捕や裁判なんて経験しない人生のほうがいいさ。でも、高卒のしがないパータレじゃ経験できないほどの大金を遣うことも出来たのも事実、まっとうに生きてりゃまず経験することのない逮捕や裁判を経験できたのも一つの僥倖だ。この経験が正負を問わず俺の財産になったことは間違いない。
いつまでも過去にしがみついて生きるつもりはない、五年前に俺は死んだのだ。得がたい経験を無碍にする必要はないがだからといって縛られる必要もない。経験を生かせるところは生かせばいいし、過去のしがらみにとらわれてもがき苦しむ必要もないだろう。
未だに風俗の世界にしがみついているようなことを言われるがまったくの誤解だ。何度も途中もう一度やれといわれた。中には万が一捕まるようなことがあってもすべて自分が背負うといってくれた人もいた。しかし、俺は五年前のあの日死んだのだ。今更、夜の帳に未練はない。
確かに死亡により、失った代償はとても大きい、カミさん、子供というかけがえのないものを失った。だが、それもこれも俺が負うべき業なのだと割り切っている。
五年前の今日俺は死んだ。しかし、同時に新たに別の俺が誕生した日でもある。死んだことを悔やむより、むしろ生まれたことを祝いたい。いつかそう思える日を目指して今はひたすら頑張りたい。
15時ちょっと前に任意同行を求められ、23時過ぎまで任意という名の強制事情聴取、その後警察の目論見どおり無事(?)逮捕状が発布され、留置場の檻の中にぶち込められたのは時計の針がちょうどテッペンで重なりあったころ、違法なことをやっている以上、逮捕は元より覚悟していたが、いざ現実のものとなると俺も人の子、やはり堪えた。身重のカミさんがいれば尚更だ。
とはいえ、起こってしまったものは今更どう足掻いても変わらない。その現実は素直に受け入れた。本当に無実であるなら最高裁まで争うがこっちは悪の商人、殺人とドラッグ以外の悪事は一通り経験している。正直、本件である売春防止法以外での立件のほうがよっぽど怖かった。あれもこれもと積み重ねた悪事が走馬灯のようにぐるぐると頭に浮かんでは消えた。
どれだけ余計なことを詮索されずにここ(留置場)を抜け出すかばっかりを考えた。無罪を争うのであれば主義主張は正反対であるが共産党系の弁護士を雇って係争したことだろう。しかし、余計なことを詮索されずいかに穏便に済ますかを考えた俺は普段からこういうときのために付き合っていた悪名高いI先生を私選弁護士に据えた。I先生を私選弁護人にした瞬間から刑事、検事の対応が変わった。留置場の看守のおまわりには、「お前、Iさんを頼むってスゲーな~、どういうつながりだよ」と驚かれた。
結局I先生との共闘がうまくいったといえるだろう。途中何度か検事に揺さぶりをかけられたがI先生の指示通りのらりくらりとかわし、結局本件である売春防止法のみの立件で済み、執行猶予判決はもちろん、罰金は5万円とこの手の事件判決にしては格安、追徴金もなしである。恐れていた別件での逮捕、起訴はなかった。
とはいえ、強がるわけではないが悪いことをして過ごした11年も逮捕拘留された50日も、すべていい経験をしたと思える。そりゃあ逮捕や裁判なんて経験しない人生のほうがいいさ。でも、高卒のしがないパータレじゃ経験できないほどの大金を遣うことも出来たのも事実、まっとうに生きてりゃまず経験することのない逮捕や裁判を経験できたのも一つの僥倖だ。この経験が正負を問わず俺の財産になったことは間違いない。
いつまでも過去にしがみついて生きるつもりはない、五年前に俺は死んだのだ。得がたい経験を無碍にする必要はないがだからといって縛られる必要もない。経験を生かせるところは生かせばいいし、過去のしがらみにとらわれてもがき苦しむ必要もないだろう。
未だに風俗の世界にしがみついているようなことを言われるがまったくの誤解だ。何度も途中もう一度やれといわれた。中には万が一捕まるようなことがあってもすべて自分が背負うといってくれた人もいた。しかし、俺は五年前のあの日死んだのだ。今更、夜の帳に未練はない。
確かに死亡により、失った代償はとても大きい、カミさん、子供というかけがえのないものを失った。だが、それもこれも俺が負うべき業なのだと割り切っている。
五年前の今日俺は死んだ。しかし、同時に新たに別の俺が誕生した日でもある。死んだことを悔やむより、むしろ生まれたことを祝いたい。いつかそう思える日を目指して今はひたすら頑張りたい。