たまには風俗の話でもするか。
といっても経営の方の話ではなく客として遊びに行った時の話だ。
あれは二十歳ぐらいの時だったと思う。風俗店を経営する遥か以前の話だ。
今はなき天王町にある水戸御殿という風呂屋に行った時のことである。
当時はインターネットなどというハイカラなものがまだなかった時代、水戸御殿を選んだのはまさに行き当たりばったり、調子のいい客引きのおっさんに若くてイイ子がいるからと呼び止められ、俺は釣られて入ってみたのである。
どよ~ん・・・。
うん、確かに若い、若いがこれってどうよ、対面したのは、見るも無残な骨と皮だけの女の子。
北朝鮮の脱北者かいっ!
栄養が行き届いていないからか、女なのに薄毛で頭頂部はスカスカ、頭皮が丸見えなのである。キツい。さすがに今どき貧乏で食えないということはないであろうからまあ拒食症なんだろうけども、それにしてもこれはいったいなんの罰ゲームなのか・・・。
ふーっ・・・。
今なら冗談じゃねぇぞ、オヤジ、コラッ、俺をたぶらかそうたぁ随分いい度胸してんなぁと、強く言えるが当時は風俗イコールヤクザだと思っており、天王町は怖いところだという先入観が少なからずあったため、結局何も言えず、重苦しい気分で個室に向かう。階段を昇る足が重い、大きななまりの玉がぶら下がっているんじゃなかろうかと思えるぐらいやたらと重い。
俺のこんな気持ちを女の子も察したんだろうな、部屋に入るなり、「ごめんなさい、わたしみたいのじゃ嫌ですよね、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」だもん。
その頃は今ほどスレてない純朴な好青年だからさ、内心勘弁してくれよ、トホホと思いつつも、「えっ、何が?俺、お姉さんみたいなタイプ好きだよ、はははっ」、なんつぅて取り繕ってさ、あれにはホントまいったよな~。
いや、十分よく分かってますよ、俺が人の容姿をあーだ、こーだ、言えるご身分じゃないってことは。
でもよう、骨と皮だけって、可愛い、可愛くない以前の問題だろうよ。容姿を批判されたくなかったらまずは病院に行け、話はそこからだ。
こんなこといって本当に申し訳ないがあまりにグロ過ぎて正視が出来ず、「明るいと照れるんで電気消して」って部屋ん中真っ暗にしちゃったもん。
頭にあるのは金はいいからもう帰りたいって、ただそれだけ。
とりあえず体を洗ってもらい、風呂に浸かり、マットは嫌いだからやらなくていいよと嘘をつき(本当はメチャクチャ大好きだ)、浴槽の中で、無理矢理手コキをしてもらい口内発射。
風呂を出ると俺は勝手に着替えをはじめ・・・、られませんでした。
「えっ、なんで帰り支度しているんですか、やっぱりわたしといるのが嫌なんですね・・・、シクシク」
はい、嫌ですと言えたらどんなに楽なことか!
「えっ、ソープって一回やったら終わりじゃないの?初めてキタからシステムがわからなかった、あはは・・・」(知ってて大嘘)
「まだまだ時間はたっぷりありますよ、うふふ」と覆いかぶさってくる即身仏、恥骨やあばらが背中にゴツゴツとあたり、まったく気持ち良くないのだが(涙)。これなら三瓶やザ・たっち(ちょっと、ちょっと、ちょっとの方)にやられるほうがよっぽど気持ちイイと思うぞ。
俺はこれでもかっていうぐらいフルパワーでいやらしいこと考え、なんとかかんとかポコチンを硬くし、今、ボクの上に乗っかっているのは柏原芳恵なんだと自分に言い聞かせ(もちろん目はつむったまま)、柏原芳恵が自分のお股から抜き出したヌルヌルの極太バイブを舐め舐めしている卑猥な姿を想像しながらかなり強引にフィニッシュ。
ああー。
あああー。
ああああーーーーーっ。
なんたることか、一度ならずも二度も。
散々女遊びをしてきたがあの鶏ガラ嬢のことは今だに忘れられないのである。別れ際にまた来てねとディープキスをされたのも(舌を入れてきやがった!)、俺の黒歴史である。
思い出しただけで寒気がする。