アホの木
- 2014/12/08
- 23:03
実家にアホな木があった。
あったという通り、今はもうない。
アホの木とはなんぞや?
おふくろが知り合いから仏壇に飾ってと得体の知れない柑橘類(ポンカンの一種?)を貰う。暫らくの間、仏壇に飾っておき、腐りかけてきたので剥いてその種を試しに蒔いてみたらいつのまに発芽して1mくらいの高さにまで育ったというのが事のいきさつ。育つといってもなーんもしていない。肥料も水もやらずすべてほったらかし。
高さ1m半ぐらいの小さな木なのに直径25㎝ぐらいの巨大な実がそれこそ尋常じゃないぐらいたくさん実るのだ。俺も以前食べられるのかと思い剥いてみたら大部分が分厚いスポンジ状の皮。肝心の実はみかんより遥かに小さく、ピンポン玉ぐらいしかない、しかも不味い。不味いというよりも味もそっけもないのでただニチャニチャと甘味と酸味のないみかんを食べているような感覚なのだ。
この実があまりにもなるものだから親父は風呂に入れて柚子湯代わりにしていたのだが匂いもなく、なんの意味もないため、すぐにやめてしまった。
そもそも実家には柚子の木があり、柚子がたくさん実るからわざわざこんな珍妙な柑橘類など風呂に浮かべずとも柑橘風呂は事足りるのだ。
もしかしたら野鳥の餌になるかもと、横から半分に切り、木の枝に刺しておいたが鳥も食べず。うまいか不味いかって鳥も分かるんだな。
そんなんでまったく使い物にならないため、放っておいたら、実はさらに大きくなり、その実の重さに耐えかねて木がボキボキと折れるはじめる始末なのだ。
アホ過ぎると思った。
勝手に実をたわわにつけ、その重さに耐えられなくなり、木が折れてしまう。人間に例えれば暴飲暴食もしてないのにどんどん勝手に太り出し自らの重さに耐えきれなくなり骨が折れてしまうようなものだろう。
これが人為的に特殊な化学肥料を与えて強制的に大きくしてしまったというのなら分かるが、何もしていない。むしろ、自然の為すがままに任せていた。
結局最後は落ちた実が腐ってべちょべちょになるから不快だという理由で親父が怒って根元からチェーンソーで伐採してしまった。
病気や日照不足、肥料不足から枯れてしまうのなら分かるが自らなした実の重さで枝を折ってしまう。
なぁ、おふくろ、自然って分からんもんだな。
そう尋ねると、おふくろはたった一言、「苦々しく思う」とつぶやいた。
あったという通り、今はもうない。
アホの木とはなんぞや?
おふくろが知り合いから仏壇に飾ってと得体の知れない柑橘類(ポンカンの一種?)を貰う。暫らくの間、仏壇に飾っておき、腐りかけてきたので剥いてその種を試しに蒔いてみたらいつのまに発芽して1mくらいの高さにまで育ったというのが事のいきさつ。育つといってもなーんもしていない。肥料も水もやらずすべてほったらかし。
高さ1m半ぐらいの小さな木なのに直径25㎝ぐらいの巨大な実がそれこそ尋常じゃないぐらいたくさん実るのだ。俺も以前食べられるのかと思い剥いてみたら大部分が分厚いスポンジ状の皮。肝心の実はみかんより遥かに小さく、ピンポン玉ぐらいしかない、しかも不味い。不味いというよりも味もそっけもないのでただニチャニチャと甘味と酸味のないみかんを食べているような感覚なのだ。
この実があまりにもなるものだから親父は風呂に入れて柚子湯代わりにしていたのだが匂いもなく、なんの意味もないため、すぐにやめてしまった。
そもそも実家には柚子の木があり、柚子がたくさん実るからわざわざこんな珍妙な柑橘類など風呂に浮かべずとも柑橘風呂は事足りるのだ。
もしかしたら野鳥の餌になるかもと、横から半分に切り、木の枝に刺しておいたが鳥も食べず。うまいか不味いかって鳥も分かるんだな。
そんなんでまったく使い物にならないため、放っておいたら、実はさらに大きくなり、その実の重さに耐えかねて木がボキボキと折れるはじめる始末なのだ。
アホ過ぎると思った。
勝手に実をたわわにつけ、その重さに耐えられなくなり、木が折れてしまう。人間に例えれば暴飲暴食もしてないのにどんどん勝手に太り出し自らの重さに耐えきれなくなり骨が折れてしまうようなものだろう。
これが人為的に特殊な化学肥料を与えて強制的に大きくしてしまったというのなら分かるが、何もしていない。むしろ、自然の為すがままに任せていた。
結局最後は落ちた実が腐ってべちょべちょになるから不快だという理由で親父が怒って根元からチェーンソーで伐採してしまった。
病気や日照不足、肥料不足から枯れてしまうのなら分かるが自らなした実の重さで枝を折ってしまう。
なぁ、おふくろ、自然って分からんもんだな。
そう尋ねると、おふくろはたった一言、「苦々しく思う」とつぶやいた。