今年のお盆休み、パチンコを打ちました。それなりに好調で出玉を店のルールに則り、椅子の後ろ側に置きました。
アホ面コキながらぽけーっと打ち続けていると、いきなりガシャーン。狭い通路だから通行人の足に当たってしまったんですね。別に故意に当てたわけじゃないので、そのこと自体にキレる必要はない。こぼれた玉を拾ってくれればそれでいい。
なのに、こやつは「ちっ」と舌打ちをして立ち去ろうとしているではないか。
久々にキレましたよね。相手は身長180センチぐらいある、耳にピアスをしたファンキーな出で立ちの大男、まともに対峙したらこちらがひるんでしまうような風体だ。
でも、俺はちゃんと行きましたよ。舐めてんのか、このガキ、表に出ろ、オラッと無理やり店から引きずり出し、狂犬のような振る舞いで、まくし立てる。
「おい、こら、テメェ、いい度胸してんな、アーッ?喧嘩がしてぇなら、回りくどい真似しないで、直接言えや、コラッ。テメェの方からぶつかっといて詫び入れるでもねぇ、舌打ちして立ち去るとはどういう了見じゃ、殴り合いがしてぇなら、買ってやんぞ、こらっ」
あまりのキチガイぶりに圧倒されたのか、元々、単なる見掛け倒しのふかし野郎なのか、分かりませんが、奴は「すいません、自分負けててイライラしてしまい、立ち去ってしまいました、すいませんでした」と素直に謝る。
正直、これで色んなことが救われた。
実際、殴り合いになったら前科のある(三犯!)俺は圧倒的に不利。下手すりゃ実刑だ、でも引けない。体力の差では奴に適いそうもないので、頭の中で瞬時にシミュレートしたのは垂直蹴りを腹部にかまし、金網越しに押し倒した後は転がっているコンクリートブロック(確認済み)で死なない程度に肩の付け根や太ももあたりを痛めつけてやろうと思った(さすがに殺人犯にはなりたくないので)。もちろん、留置場直行だす。ここすんなり引けるくらいならもうちょっとマシな生活を送っている。
頭のいい人なら、なんだあのバカはと、こぼれた玉を拾い集めてそれで終わりにするだろう。むろん、それが正しいのはよくわかりますが、それって結局臆病者のする自己弁護のような気がしないでもないと思っているのもまた事実だったりする。
いやいや、何も暴力を肯定しているわけじゃない。社会的地位や家族のこと、或いは自分が怪我をしたり、最悪死んだりすることを考えればバカは相手にしないと、流すことの方がどう考えても正しい。殴り合いの喧嘩などせず、平穏無事な穏やかな日々を過ごした方がよっぽど賢い。
でも、俺は俺が俺であるためには、行くしかないと思っちゃったんだよね。
矛盾しているけど、相手が折れてくれて安堵したのは相手の方でなく、実は俺の方だったりする。バカな生き方しかできない自分にほとほと呆れると同時に、まだまだ魂は死んじゃいないなと悦に入っているのだからどうしようもない。
とりあえず、ほら飲めよと、そのあんちゃんに缶コーヒー買ってやってチャンチャンで終了。
これでいいのか!?