ご無沙汰です、年明け一日から始まる某大手企業イベントのデザインを請け負っていたためバタバタしておりました(元旦解禁のため今詳細は明かせない)、まあ、誰も俺のことなんか待ってはいないだろうけどさ。ただ、一応報告しとかないと、俺の場合、死んだか(消されたも含む)、逮捕されたかのどっちかだと思われるじゃん。ある意味、それはそれでネタとしては美味しいけども、出来ることなら穏やかな新年を迎えたいなと。
しっかし、成宮寛貴の電撃引退劇は驚いた。ASKA容疑者同様、白黒は司法が判断することであるからここでどうのこうのいうつもりはないけれど、自ら用意した簡易検査キットを使って尿検査をするのはいいが病院に行って髪の毛を含めた本検査するのは断固拒否する、それであれば引退するってどう見ても怪しすぎんだろ、おまけにネットの情報では東南アジアに向けて出国したっていうじゃない、傷心旅行というよりもクスリ抜きに行ったんじゃないのかと勘ぐってしまう。
ともかく、いつもこの手のゴシップ雑誌に思うのはアメリカと日本の制度的な違いだよなってこと。
例えば今回スクープ記事を掲載したフライデー、発行部数は公称41万部だという。値段が400円、雑誌の粗利がいくらか分からないが仮に1割の40円とする。41万部×40円で凡そ1640万円、ざっくりとだが1回発刊すると1600万円程度の粗利があるんじゃなかろうかと推察できる。
多分、さっさと引退してしまったため、名誉毀損で成宮寛貴が訴えるとは思えないが仮に名誉棄損で成宮が民事訴訟を起こしたとする。その場合、恐らく慰謝料を含め、数千万円の損害賠償を請求すると思われる。
しかし、ここがアメリカと日本の大きな違いなのだが、訴えが認められてもせいぜい数百万程度の賠償しかされないであろう。以下の判例を見て頂きたい。
『AKB48のマネジメント会社社長が、「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、発行元の文藝春秋側に損害賠償などを請求した事件の判決で、9月3日、東京地裁は同社側に165万円の支払い命じる』
『中田カウスさんが週刊誌に名誉を毀損されたとして、雑誌社などに対し、5500万円の損害賠償などを請求した事件(平成25年4月26日、大阪地方裁判所は、「裏付け取材を十分にしておらず、記事が真実とは認められない」として、220万円の賠償金の支払い命じる』
『島田紳助さんの事件は、平成23年10月15日発刊の「週刊現代」の「京都市内の不動産取引で、島田さんが暴力団組員と同席して交渉した」といった記事によって名誉が毀損されたとして、島田紳助さんと吉本興業が雑誌社などに対し5500万円の賠償金の支払いなどを求めた事件です。平成24年12月12日、東京地方裁判所は、週刊誌による名誉毀損を認め、110万円の賠償金の支払いを命じる』
いずれも100万円から200万円程度しかない、時間と労力を考えると凡そ割りの合わない裁判だ。成宮が民事訴訟を起こしても認められるのは恐らく300万円程度だと思われる。繰り返すが認められてもだ。これがアメリカだったったら下手したら出版社を吹っ飛ぶほどの大金、ともすれば数十億円から場合によっては数百億円にも及ぶ巨額の賠償金の支払いを命じられる可能性があるだろう。つまり、日本の場合、スクープ記事を連発して、数千万円の粗利が出ればたかだか数百万円の慰謝料の支払いなど屁でもないのである(フライデーは3週にわたって成宮のコカインネタを掲載するらしい)。単純な計算だが、もし民事訴訟で負けて数百万円の支払い命令を受けたとしても数千万円の利益を得られればその数百万円は必要経費と考えることも出来る。道義的にそれってどうなのって話ではあるが。
また、民事訴訟に於いてはアメリカと日本の構造的な問題がある。
アメリカの場合、基本は訴え出たもん勝ちなのだ。タラレバの話だが成宮がアメリカでフライデーの出版元である講談社を訴え出たとする、その際、講談社は成宮が本当にコカインを吸入したという事実を裁判所に提示しなくてはならない。もちろん、写真や音声だけじゃだめだ。髪の毛を検査し、クロを立証しなくてはならない。しかもその髪の毛が本人のものだと断定しなくてはならないからDNA鑑定も必要だ。訴訟を起こした本人が用意周到に証拠のブツを提示できないようにしてしまったら違法薬物を接種していようがいまいが立証できないから少なくとも民事ではシロだ。
対して、日本の場合、清廉潔癖を証明するのは原告の義務である。病院に行き、髪の毛や尿などを検査してそれが立証できなければ雑誌社側の勝ちになる可能性が高い。ましてや今回、成宮は病院での検査を拒否している、これでは勝訴を勝ち取ろうにも相当ハードルが高い。
とはいえ、本人が引退してしまったため、民事での訴えはなさそうだ。あとは司法が刑事的にどう判断するかでしょうね。